妊娠初期(4〜15週)
マタニティライフの過ごし方
【医師監修】妊娠中の温泉はいつから?時期別の注意点とリスク
妊娠中に温泉でゆっくりとリラックスしたいと考えている妊婦さんも多いのではないでしょうか。しかし、「本当に入っても大丈夫なの?」「赤ちゃんに影響はないの?」と不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、妊娠中の温泉入浴について、時期別の注意点やリスク対策、泉質の選び方まで詳しく解説します。安心して温泉を楽しむための情報をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

結論 妊娠中の温泉利用は基本的に問題ない
妊娠中であっても、体調に問題がなければ温泉に入ることは可能です。温泉の成分が母体や赤ちゃんに悪影響を与えるという医学的根拠はなく、むしろリラックス効果や血行促進など、妊婦さんにとって嬉しい効果が期待できます。
ただし、いくつかの注意点を守ることが大切です。長湯や高温のお湯は避け、転倒に注意しながら、体調に合わせて無理のない範囲で楽しむようにしましょう。
かかりつけ医への事前相談が必須
温泉に行く前には、必ずかかりつけの産婦人科医に相談してください。妊娠の経過は人それぞれ異なり、切迫早産や妊娠高血圧症候群など、特別な配慮が必要なケースもあります。
医師に相談することで、現在の妊娠週数や体調に応じた適切なアドバイスを受けることができます。特に妊娠初期や後期に温泉旅行を計画している場合は、事前確認が重要です。
温泉法改正で「妊婦」は禁忌症から削除
以前は温泉法において、妊娠中(特に初期と末期)が入浴の禁忌症とされていました。しかし、2014年の法改正により、妊婦は禁忌症から除外されました。これは、温泉が妊婦や胎児に悪影響を与えるという医学的根拠が認められなかったためです。
このため、現在では妊娠中の温泉入浴は問題ないとされていますが、施設によっては安全上の理由から入浴を断られることもあります。事前に施設に確認しておくと安心です。
妊娠時期別 温泉入浴の注意点
妊娠の時期によって、体調や体型の変化が異なります。それぞれの時期に適した入浴方法を知っておきましょう。
妊娠初期(4週~15週)の注意点
妊娠初期は、つわりや体調不良が起こりやすい時期です。ホルモンバランスの変化により、体がデリケートな状態になっています。
この時期の主な注意点は以下の通りです。
まず、つわりの症状がある場合は無理に入浴しないことが大切です。温泉特有の硫黄の匂いでつわりが悪化することもあります。また、急な出血や腹痛が起きた場合、すぐにかかりつけの病院を受診できる距離の温泉を選ぶようにしましょう。
妊娠初期は流産のリスクが比較的高い時期でもあるため、遠方への温泉旅行は避け、体調が安定してから楽しむことをおすすめします。
妊娠中期(16週~27週)の注意点
妊娠中期は安定期と呼ばれ、温泉を楽しむのに最も適した時期です。つわりが落ち着き、お腹もまだそれほど大きくないため、動きやすい時期といえます。
この時期であっても、入浴時間は10分程度に抑え、水分補給をしっかり行うことが重要です。温泉の温度は42℃以下のぬるめのお湯を選び、のぼせないように注意しましょう。
また、浴室内は滑りやすいため、手すりを使ってゆっくりと移動することを心がけてください。万が一に備えて、一人での入浴は避け、家族や友人と一緒に入ることをおすすめします。
妊娠後期(28週~)の注意点
妊娠後期になると、お腹が大きくなり足元が見えづらくなります。そのため、転倒のリスクが高まる時期です。
この時期は特に慎重な行動が求められます。浴室の段差や滑りやすい床に十分注意し、必ず誰かと一緒に入浴するようにしましょう。また、長時間の立ちっぱなしは避け、休憩を挟みながら入浴してください。
臨月(妊娠10ヶ月)に入ったら、いつ陣痛や破水が起きてもおかしくない状態です。この時期の温泉旅行は控え、自宅で過ごすことをおすすめします。やむを得ず温泉に行く場合は、かかりつけの病院から近い場所を選び、母子健康手帳と健康保険証を必ず持参しましょう。
妊婦が知るべき温泉の3大リスクと具体的な対策
温泉入浴には様々なメリットがある一方で、妊婦さんが注意すべきリスクも存在します。ここでは主な3つのリスクと、その対策方法を詳しく解説します。
長湯によるのぼせと脱水
妊娠中は血液量が増加し、体温調節機能が普段と異なるため、のぼせやすい状態になっています。長時間の入浴は、めまいや立ちくらみ、脱水症状を引き起こす可能性があります。
具体的な対策方法として、入浴時間は1回あたり10分以内に抑えましょう。温泉に入る前と入った後には、必ず水分補給を行ってください。特にミネラルウォーターやスポーツドリンクがおすすめです。
また、入浴中に少しでも体調の異変を感じたら、無理せずすぐに浴槽から出ることが大切です。休憩スペースで十分に体を休めてから、必要に応じて再度入浴しましょう。
滑りやすい浴室内での転倒
温泉施設の浴室は、泉質によって床が非常に滑りやすくなっていることがあります。特にアルカリ性の温泉はぬめりがあり、転倒のリスクが高まります。
転倒を防ぐための対策として、まず浴室内では必ず手すりを使って移動しましょう。急いで歩かず、ゆっくりと慎重に足を運ぶことが重要です。できれば家族や友人と一緒に入浴し、万が一の際にサポートしてもらえる体制を整えておきましょう。
露天風呂への移動時や、浴槽の出入り時は特に注意が必要です。硫黄泉など濁りのある温泉では、足元が見えにくくなるため、より一層の注意を払ってください。
感染症の可能性
妊娠中は免疫力が低下しているため、普段よりも感染症にかかりやすい状態です。不特定多数の人が利用する大浴場では、細菌や雑菌が存在する可能性があります。
ただし、温泉のお湯を介して膣や子宮に感染症が広がるという医学的な根拠はありません。それでも心配な方は、以下の対策を実践しましょう。
入浴前に洗面器やバスチェアをよく洗ってから使用し、タオルは必ず自分専用のものを使いましょう。また、共用のブラシやシャンプーは避け、自分で持参したものを使用することをおすすめします。
衛生面が気になる場合は、貸切風呂や客室付きの温泉を選ぶと安心です。入浴後はシャワーで体を洗い流し、清潔を保つようにしましょう。
泉質による母体と赤ちゃんへの影響
温泉には様々な泉質があり、それぞれ特徴が異なります。妊娠中は肌が敏感になっているため、泉質選びも重要なポイントです。
妊婦が避けるべき泉質
基本的に、どの泉質も母体や赤ちゃんに直接的な悪影響を与えることはありません。しかし、妊娠中の体の状態を考慮すると、刺激の強い泉質は避けた方が無難です。
硫黄泉は、卵の腐ったような独特の匂いがあり、つわり中の妊婦さんは気分が悪くなることがあります。また、お湯が濁っているため足元が見えにくく、転倒のリスクも高まります。
酸性泉は、殺菌効果が高く肌への刺激が強いため、妊娠中の敏感な肌には負担となる場合があります。入浴後は必ずシャワーで洗い流すようにしましょう。
強アルカリ性の温泉は、床がぬめりやすく滑りやすいという特徴があります。お腹が大きくなる妊娠後期は特に注意が必要です。
刺激の少ないおすすめの泉質 単純温泉
妊婦さんに最もおすすめなのが単純温泉です。単純温泉とは、温泉に含まれる成分が一定基準に達していない温泉を指しますが、これは「刺激が少なく体に優しい」という意味です。
単純温泉は肌への刺激が少ないため、敏感肌の方や赤ちゃん、高齢者でも安心して入浴できます。美肌効果やリラックス効果も期待でき、妊娠中の体を優しく温めてくれます。
その他、塩化物泉も保温効果が高く、冷え性に悩む妊婦さんにおすすめです。湯冷めしにくく、体を芯から温めてくれる効果があります。
妊婦にやさしい温泉旅館選び5つのポイント
安全で快適な温泉旅行を楽しむためには、宿選びが重要です。以下の5つのポイントを参考に、妊婦さんに優しい温泉旅館を選びましょう。
貸切風呂や家族風呂の有無
大浴場では他のお客さんがいるため、万が一体調が悪くなった時に周囲に迷惑をかけてしまう心配があります。貸切風呂や家族風呂がある施設を選ぶことで、プライバシーが守られ、自分のペースでゆっくりと入浴できます。
また、衛生面が気になる方にとっても、貸切風呂は安心です。お湯の温度調節も自由にできる場合が多いため、体調に合わせた入浴が可能です。
食事内容の確認とアレルギー対応
妊娠中は食べられないものや、アレルギーに配慮が必要な場合があります。予約時に、生ものや生肉、アルコールなどを避けた食事に変更できるか確認しましょう。
近年では、妊婦さん向けに栄養バランスの取れた食事を提供する旅館も増えています。鉄分やカルシウムが豊富なメニューや、消化に良い料理を選べる施設を探してみてください。
マタニティプランの提供
マタニティプランを提供している温泉旅館では、妊婦さんに配慮した様々なサービスが受けられます。抱き枕の貸し出し、禁煙ルームの確保、ノンカフェインの飲み物の提供など、細やかな気配りが嬉しいポイントです。
また、急な体調不良によるキャンセル料が免除される場合もあります。妊娠中は予期せぬ体調変化が起こることもあるため、柔軟な対応をしてくれる施設を選ぶと安心です。
自宅からのアクセスと移動時間
長時間の移動は体に負担がかかります。できるだけ自宅から近く、移動時間が短い温泉を選びましょう。車での移動の場合は、こまめに休憩を取り、同じ姿勢が続かないように気をつけてください。
公共交通機関を利用する場合も、乗り換えが少なく、座席を確保しやすい時間帯を選ぶことをおすすめします。
近隣の救急対応可能な医療機関
万が一の事態に備えて、温泉施設の近くに産科のある病院や救急対応可能な医療機関があるかを事前に確認しておきましょう。特に妊娠後期は、いつ何が起こるかわからないため、医療機関の情報を把握しておくことが重要です。
宿泊施設のスタッフに相談すれば、近隣の医療機関を教えてもらえることが多いので、チェックイン時に確認しておくと安心です。
妊娠中の温泉に関するよくある質問
サウナや岩盤浴は利用できるか
妊娠中のサウナや岩盤浴は避けるべきです。高温の環境に長時間いると、体温が上昇し、血圧の急激な変化や脱水症状を引き起こす可能性があります。
サウナの室温は通常70〜90℃と非常に高く、母体やお腹の赤ちゃんに負担をかけるリスクがあります。同様に、岩盤浴も体温を大きく上昇させるため、妊娠中は控えましょう。
どうしても温まりたい場合は、温泉の足湯や手湯を利用することをおすすめします。これらは体への負担が少なく、リラックス効果も期待できます。
上の子と一緒に入浴する場合の注意点
上のお子さんと一緒に温泉に入る場合、お子さんの安全確保と自分の体調管理の両立が必要になります。お子さんが小さい場合は、パートナーや家族に協力してもらい、一人で抱え込まないようにしましょう。
浴室では、お子さんが走り回ったり飛び込んだりしないよう、しっかりと見守る必要があります。同時に、自分自身の転倒にも注意を払わなければなりません。可能であれば、貸切風呂を利用すると、周囲を気にせず安全に入浴できます。
また、お子さんの体調管理も忘れずに行いましょう。長湯はさせず、こまめに水分補給をさせてあげてください。
産後の温泉はいつから可能か
産後は、一般的に1ヶ月健診で医師の許可が出てから温泉に入れるようになります。出産直後は子宮口が開いており、悪露も出ているため、感染症のリスクが高い状態です。
産後3〜4週間ほどで子宮口が閉じ、悪露も落ち着いてきますが、体の回復には個人差があります。必ず医師の診察を受け、入浴許可を得てから温泉を楽しむようにしましょう。
会陰切開をした場合は、傷口の回復状況も重要です。帝王切開の場合も、傷口が十分に癒えるまで待つ必要があります。焦らず、体の回復を優先してください。
まとめ
妊娠中の温泉入浴は、医学的に問題ないとされています。2014年の温泉法改正により、妊婦は禁忌症から除外され、体調に問題がなければ安心して楽しむことができます。
ただし、長湯や高温のお湯は避け、転倒に十分注意することが大切です。特に妊娠初期や後期は慎重な判断が求められるため、必ずかかりつけ医に相談してください。刺激の少ない単純温泉を選び、貸切風呂のある施設を利用すると、より安全に温泉を楽しめます。
妊娠中の温泉は、心身のリラックスや冷え改善など、多くのメリットがあります。適切な準備と注意を守りながら、マタニティライフの素敵な思い出作りをしてください。
