妊娠中期(16〜27週)
マタニティライフの過ごし方
妊娠中のお仕事が不安な⽅へ、妊婦さんを守る法律をご紹介します!
妊娠中に働き続けることを考えたとき、「残業を減らしたいけれど言い出しにくい」「健診のために休みを取りたいけれど有給が足りない」など、不安を感じることは多いものです。実は、こうした悩みに対応するための制度が、労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法という法律によってしっかりと定められています。
この記事では、妊娠中の女性労働者を守る法律の内容を、できるだけやさしい言葉で整理してご紹介します。会社に相談するときの根拠として、ぜひ役立ててください。

労働基準法に基づく労働時間と業務内容の制限
労働基準法では、妊娠中および産後1年を経過しない女性(妊産婦といいます)の体を守るために、労働時間や業務内容についていくつかの制限を設けています。
時間外労働や休日労働および深夜業の免除
時間外労働・休日労働・深夜業の免除は、妊産婦が会社に申し出ることで受けられる制度です。妊産婦が請求した場合、会社は残業(法律で決められた1日8時間・週40時間を超える労働)や休日労働、深夜業(午後10時から午前5時までの労働)をさせることができないとされています。この請求は、時間外労働だけ、深夜業だけといった一部分のみを申し出ることも可能です。
身体の負担を軽減する軽易業務への転換
軽易業務への転換とは、妊娠中の女性が申し出た場合に、体への負担が少ない業務へ変えてもらえる制度です。ただし、会社に新しく軽い仕事をわざわざ作る義務まではないとされている点には注意が必要です。
変形労働時間制の適用制限
変形労働時間制とは、繁忙期は労働時間を長く、閑散期は短くするなど、時期によって働く時間を調整できる制度のことです。この制度が会社に導入されている場合でも、妊産婦が申し出れば、1日8時間・週40時間という基本の労働時間を超えて働かせることはできないとされています。

男女雇用機会均等法が定める保健指導の受診保障
男女雇用機会均等法は、妊娠中の健康管理をサポートするための制度を定めています。
妊婦健診の時間を確保する通院休暇
通院休暇は、妊婦健診を受けるための時間を確保できる制度です。目安として、妊娠23週までは4週間に1回、24週から35週までは2週間に1回、36週から出産までは1週間に1回とされています。産後については、医師や助産師の指示による回数とされています。
混雑を避ける時差出勤や休憩時間の延長措置
時差出勤や休憩時間の延長は、通勤ラッシュがつらい場合や体調がすぐれない場合に申し出ることができる措置です。始業・終業の時刻を30分から60分程度ずらしてもらったり、休憩の回数を増やしてもらったりすることが想定されています。
医師の指示を会社へ伝える母健連絡カードの活用
母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)は、医師や助産師からの指導内容を、正確に会社へ伝えるための書類です。健診の結果、通勤緩和や休憩について指導を受けた場合、このカードに記入してもらい会社に提出することで、会社は必要な措置を講じる義務があるとされています。母子健康手帳にも様式が入っていることが多いようです。
産前産後休業と育児休業の期間と条件
出産の前後には、法律で定められた休業期間があります。
出産予定日の6週間前から取得可能な産前休業
産前休業は、出産予定日の6週間前(双子など多胎妊娠の場合は14週間前)から、本人が請求すれば取得できる休業です。請求しなければ、そのまま働き続けることもできるとされています。
産後8週間の就業禁止と産後休業規定
産後休業は、出産の翌日から8週間、原則として就業させてはならないと定められています。ただし、産後6週間を経過した本人が希望し、医師が支障ないと認めた業務であれば、就労が認められる場合があるとされています。
原則1歳まで取得可能な育児休業と社会保険料免除
育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで取得できる制度で、保育所に入れないなど一定の事情がある場合は、最長2歳まで延長できるとされています。また、育児休業を取得している期間は、手続きを行うことで健康保険や厚生年金保険といった社会保険料が、本人・会社の両方とも免除される仕組みになっています。

妊娠による不利益取り扱いとハラスメントの禁止
妊娠や出産を理由に不利な扱いを受けることは、法律ではっきりと禁止されています。
解雇や雇止めおよび降格の原則禁止
会社は、妊娠・出産、産前産後休業の取得などを理由に、解雇や雇止め、降格といった不利益な取り扱いをしてはならないとされています。妊娠・出産や育休などが終わってから1年以内に不利益な扱いがあった場合は、原則としてそれが理由であるとみなされる場合があるとされています。
企業の義務であるマタハラ相談窓口の設置
いわゆるマタハラ(マタニティハラスメント)を防ぐため、会社には相談窓口の設置など、防止のための措置を講じる義務があるとされています。妊娠・出産・育児休業などに関する言動で困ったことがあれば、社内の窓口に相談できる仕組みが用意されているはずです。
法律に基づき会社へ配慮を求める申請の手順
制度を実際に使うためには、伝え方や相談先を知っておくことも大切です。
上司や人事労務担当者への相談時期
体調の変化や不安を感じたら、早めに上司や人事労務の担当者へ相談することをおすすめします。母健連絡カードなど、医師からの指導内容がわかる書類があると、話がスムーズに進みやすいとされています。
労働基準監督署や都道府県労働局の外部相談窓口
会社に相談してもうまく対応してもらえない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や労働基準監督署といった外部の窓口に相談することもできます。無料かつ匿名で相談できるとされており、プライバシーも守られます。
まとめ
妊娠中は、労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法によって、時間外労働の免除や産前産後休業、育児休業など、さまざまな制度が用意されています。体調や不安を一人で抱え込まず、制度を根拠に会社へ相談しながら、安心して働き続けられる環境を整えていきましょう。
