妊娠中期(16〜27週)
健康と美容
妊娠中のむくみはいつから?原因と今日からできる対策、受診の目安を解説
妊娠中は、足や手がむくみやすくなります。多くは妊娠による体の変化で起こるものですが、なかには病気のサインになっているむくみもあります。この記事では、むくみの原因や起こりやすい時期、毎日の生活でできる対策、受診の目安をわかりやすく解説します。

妊娠中のむくみとは?
むくみは「血管の外に水分がたまった状態」
むくみとは、血管の外に出た水分が皮膚の下にたまっている状態のことです。妊娠中は体の水分量が増えるため、むくみが起こりやすくなります。特に足首やふくらはぎ、手、顔などに出やすいのが特徴です。むくみの出方や強さには個人差があり、ほとんど気にならない方もいれば、毎日つらさを感じる方もいます。
指で押してチェックする方法
すねやくるぶしのあたりを、指で5秒ほどゆっくり押してみてください。指を離したあと、へこみがすぐに戻らずに跡が残る場合は、むくみが起きていると考えられます。毎日同じ時間にチェックすると、変化に気づきやすくなります。あわせて体重も記録しておくと、急な変化があったときに判断しやすくなります。
妊娠中にむくみが起こる原因
ホルモンの影響
妊娠するとプロゲステロン(黄体ホルモン)などのホルモンが増えます。これらのホルモンには体に水分をためこむ働きや、血管をゆるめる働きがあり、むくみの原因になります。
血液量の増加
お腹の赤ちゃんに栄養や酸素を届けるため、妊娠中は血液の量が妊娠前の約1.5倍に増えます。それにともなって体の水分も増え、血管の外にしみ出しやすくなります。
大きくなった子宮による血管の圧迫
お腹が大きくなると、子宮が脚の付け根にある太い血管を圧迫します。脚から心臓へ戻る血液の流れが悪くなるため、特に下半身がむくみやすくなります。
同じ姿勢が続く・冷え・運動不足
立ち仕事やデスクワークで同じ姿勢が長く続くと、脚に血液や水分がたまりやすくなります。また、体の冷えや運動不足も血の巡りを悪くし、むくみを強める原因になります。
むくみやすい時期は?
妊娠初期
妊娠初期からむくみを感じる方もいます。ホルモンの影響で、手足が重だるく感じたり、朝起きたときに手を握りにくかったりすることがあります。この時期はまだお腹が目立たないため、むくみと妊娠を結びつけて考えにくいかもしれません。
妊娠中期(16週頃〜)
血液量が増えてくるため、軽いむくみが出やすくなります。夕方になると靴がきつく感じる、といった変化に気づく方が多い時期です。
妊娠後期(28週以降)
大きくなった子宮が血管を圧迫するため、脚のむくみが強くなりやすい時期です。くるぶしの形がわかりにくくなるほどむくむこともあります。
よくあるむくみの症状
妊娠中によく見られるのは、次のような症状です。
・足首や足の甲がむくみ、夕方になるとひどくなる
・くるぶしの形がわかりにくくなる
・指輪や腕時計のバンドがきつくなる
・朝起きたときに、手や顔がはれぼったい
脚のむくみは、重力の影響で水分が下にたまるため、夕方にかけて強くなるのが一般的です。ひと晩休むと軽くなる程度であれば、多くは妊娠による自然な変化と考えられます。
今日からできるむくみ対策
食事を見直す
塩分のとりすぎは、体に水分をためこむ原因になります。1日6g未満を目安に、薄味を心がけましょう。バナナやほうれん草、かぼちゃ、海藻、いも類、大豆製品などカリウムを多く含む食品は、余分な塩分を体の外に出すのを助けてくれます。また、むくみが気になっても水分を控えすぎるのは逆効果です。1日2L程度を目安に、こまめに水分をとりましょう。
長時間同じ姿勢を続けない
立ち仕事やデスクワークの方は、1時間に1回ほど姿勢を変えたり、少し歩いたりしましょう。座ったままでも、足首を回したり、かかとを上げ下げしたりするだけで血の巡りがよくなります。
体を温める
湯船につかると体が温まり、水圧で血液やリンパの流れもよくなります。シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくりつかるのがおすすめです。足湯も手軽に取り入れられます。ふだんからレッグウォーマーや腹巻きを使い、冷たい飲み物はとりすぎないようにしましょう。
締め付けない服装を選ぶ
きつい下着やウエストを締め付ける服は、血の巡りを悪くします。マタニティ用の服や下着など、ゆったりしたものを選びましょう。むくみで足のサイズが変わることもあるため、靴もきつくないものを選ぶと安心です。
着圧ソックスを使う
足首からふくらはぎにかけて圧力がかかる着圧ソックスは、むくみ対策に役立ちます。足首部分の圧力が20〜30hPa(15〜23mmHg)程度で、通気性のよい素材のものを選びましょう。むくみが出る前の朝に履くのが効果的です。
足を高くして休む
休むときは、クッションなどを使って足を心臓より10〜15cmほど高くしましょう。1回15〜20分、1日3回程度が目安です。お腹が大きくなってからは、横向きに寝て足の間や下にクッションをはさむと楽に感じる方もいます。
無理のない運動
ウォーキングを1日20〜30分ほど行うと、ふくらはぎの筋肉が動き、血の巡りがよくなります。水中ウォーキングなども、水圧によるマッサージ効果が期待できます。運動中にお腹の張りや痛みを感じたら、すぐに中止してください。運動を始める前には、主治医に相談しましょう。
マッサージ・ストレッチ
入浴後など体が温まっているときに、足首からふくらはぎ、太ももへと下から上に向かってやさしくさすります。1か所5分程度、全体で10分以内にとどめましょう。お腹まわりや痛みのある部分は避け、体調がすぐれない日はお休みします。足首回し(5〜10回)やふくらはぎを伸ばすストレッチ(15〜20秒)も、ゆっくりした動きで行いましょう。
むくみの陰に隠れていることがある病気
妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降に、血圧が140/90mmHg以上(上が140以上、または下が90以上)になる状態です。高血圧に加えて、尿に蛋白が出る(蛋白尿)こともあります。むくみに加えて、頭痛や目のかすみ、目がチカチカする、みぞおちのあたりの痛みなどがある場合は、早めに受診が必要です。妊婦健診での血圧や尿の検査は、早く気づくために大切です。
深部静脈血栓症
脚の深いところにある静脈に、血のかたまり(血栓)ができる病気です。片方の脚だけが強くむくむ、痛みや赤み、熱っぽさがあるといった症状が見られます。血栓が肺に流れると息苦しさが出ることもあるため、すぐに受診してください。
妊娠静脈瘤
ホルモンの影響や子宮の圧迫によって、ふくらはぎや太ももなどの血管がこぶのように浮き出て見える状態です。脚が重い、だるいと感じることもあります。着圧ソックスや足を高くして休むことが、症状をやわらげるのに役立ちます。多くは産後に目立たなくなっていきますが、痛みや赤みが強いときは相談しましょう。
こんな症状があれば受診を
次のような症状があるときは、次の健診を待たずにクリニックへご連絡ください。いつものむくみと違うと感じたときも、遠慮なくご相談いただいて大丈夫です。
・1週間で2kg以上、急に体重が増えた
・顔や手のむくみがひどい、朝になってもむくみが引かない
・むくみと一緒に頭痛や目のかすみ、目がチカチカする症状がある
・片方の脚だけが強くむくむ、痛みや熱っぽさがある
・息切れや動悸がある
産後のむくみはいつまで続く?
妊娠中のむくみは、出産後に体の水分が少しずつ外に出ていくことで、一般的には数週間ほどかけて落ち着いていきます。ただし、産後しばらくはむくみが続く方もいます。産後も着圧ソックスや足を高くして休むなどの対策を続けると楽になることがあります。むくみがなかなか引かない場合や、頭痛などがある場合は、産後でも早めにご相談ください。

よくある質問
Q1. むくみは赤ちゃんに影響しますか?
妊娠による一般的なむくみであれば、赤ちゃんへの影響は心配いりません。ただし、むくみがひどい場合や、ほかの症状をともなう場合は医師にご相談ください。
Q2. むくみを解消するサプリメントは使ってもよいですか?
サプリメントには、妊娠中に適さない成分が含まれている場合があります。使う前に必ず医師にご相談ください。
Q3. 運動を止められている場合はどうすればよいですか?
座ったままできる足首回しや、軽いマッサージがおすすめです。どこまで動いてよいかは、主治医に確認しましょう。
まとめ
妊娠中のむくみの多くは、体の自然な変化によるものです。食事や姿勢、体を温めるといった毎日の工夫で、つらさをやわらげることができます。一方で、急な体重増加や頭痛、片方の脚だけのむくみなどは、病気のサインのこともあります。気になる症状があるときは、ひとりで悩まずに当院へご相談ください。
