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2025.7.2 / 最終更新日: 2025.07.02

妊娠後期(28〜40週)

妊娠・出産の基礎知識

妊婦さんの暑がり、なぜ?原因と対策を徹底解説

妊娠中に「なんだか普段より暑い」「クーラーがないと辛い」と感じていませんか?実は、妊婦さんが暑がりになるのには医学的な根拠があります。この記事では、妊娠中に体温が上がる4つの原因を詳しく解説し、シーン別の具体的な対策をご紹介します。暑さによる体調不良を防ぎ、快適な妊娠生活を送るためのポイントを一緒に学んでいきましょう。

妊娠中の「暑くてたまらない!」その悩み、あなただけではありません

妊娠前は冷え性だったのに、妊娠してから急に暑がりになって困っている方、安心してください。妊娠中の暑がりは、多くの妊婦さんが経験する自然な現象です。実際に、妊娠中期から後期にかけて約8割の妊婦さんが「普段より暑く感じる」と答えているという調査結果もあります。

これまで夏場でもエアコンをあまり使わなかった方が、妊娠を機に一日中エアコンをつけっぱなしにするようになったり、冬でも薄着で過ごすようになったりするのは、決して珍しいことではありません。たとえば、妊娠7か月のAさんは「12月なのに半袖で過ごしている自分にびっくりした」と話していました。このような体の変化は、お腹の赤ちゃんが健やかに成長している証拠でもあるのです。

しかし、暑さが原因で食欲不振や睡眠不足、脱水症状を起こしてしまうと、母体にも胎児にも良くない影響を与える可能性があります。そのため、暑がりになる原因を正しく理解し、適切な対策を取ることが大切です。妊娠中の暑さは一時的なものですが、出産まで続くことが多いので、しっかりと向き合っていきましょう。

妊婦さんが暑がりになるのはなぜ?妊娠中に体温が上がる4つの原因

妊娠中に体温が上昇し、暑がりになる理由は複数あります。ここでは、ホルモンバランスの変化から赤ちゃん自身が発する熱まで、主要な4つの原因を詳しく見ていきましょう。これらの原因を理解することで、なぜ自分が暑く感じるのかが明確になり、適切な対策を立てることができます。

原因1:女性ホルモンの影響で高温期が続く

妊娠中の暑がりの最も大きな原因は、女性ホルモンの分泌量が大幅に増加することで、体温を上昇させる作用が続くことです。通常、女性の基礎体温は生理周期に合わせて低温期と高温期を繰り返しますが、妊娠すると高温期が出産まで継続します。

具体的には、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが、妊娠前の約10倍にまで増加します。このホルモンには体温を0.5〜1度程度上昇させる働きがあるため、妊娠前の基礎体温が36.2度だった方は、妊娠中は36.7〜37.2度程度で推移することになります。この体温上昇は、お腹の赤ちゃんが過ごしやすい環境を作るための自然な反応です。

さらに、エストロゲン(卵胞ホルモン)も大量に分泌され、血管を拡張させて体内の熱を外に逃がそうとする働きを活発にします。そのため、顔のほてりや手足の火照りを感じやすくなり、普段より暑く感じるのです。この状態は妊娠初期から始まり、出産後にホルモンバランスが元に戻るまで続きます。

原因2:新陳代謝が活発になり、体内で熱が作られやすくなる

妊娠中は赤ちゃんの成長を支えるために、母体の新陳代謝が妊娠前の約20〜30%も活発になります。新陳代謝が上がると、細胞レベルでエネルギーが盛んに作られ、その過程で熱が大量に発生します。これは、まるで体の中で小さな火が燃え続けているような状態です。

たとえば、妊娠前は階段を上っても息切れしなかった方が、妊娠中期以降に同じ階段を上ると汗をかきやすくなるのは、この新陳代謝の活発化が原因の一つです。また、安静にしているときでも体温が高く保たれ、普段より汗をかきやすくなるのも、このメカニズムによるものです。

この新陳代謝の上昇は、お腹の赤ちゃんに十分な栄養と酸素を届けるために必要な変化です。母体がより多くのエネルギーを作り出すことで、胎盤を通じて赤ちゃんに栄養を送り続けることができます。そのため、暑く感じることが増えても、これは赤ちゃんが健康に育っている証拠だと前向きに捉えることが大切です。

原因3:赤ちゃんに栄養を送るため血液の量が増えている

妊娠中は、血液量が妊娠前の約1.5倍(通常4リットルが6リットル程度)にまで増加します。この血液量の増加により、心臓がより多くの血液を送り出すために活発に働き、体温上昇の原因となります。

血液量が増える理由は、胎盤を通じて赤ちゃんに酸素や栄養を届けるためです。また、出産時の出血に備えて体が準備をしているという側面もあります。この血液量の増加は妊娠初期から始まり、妊娠32〜34週頃にピークを迎えます。

血液量が増えると、血管内を流れる血液の量が多くなり、血管が拡張して体表面に近づきます。そのため、皮膚表面の温度が上がり、暑く感じやすくなるのです。具体的には、手のひらや足の裏が熱く感じたり、顔が赤くなりやすかったりします。妊娠後期のBさんは「手を握ると、まるで湯たんぽのように温かいと夫に言われた」と話していました。この症状は、血液量増加による正常な変化なので、過度に心配する必要はありません。

原因4:お腹の赤ちゃん自身が「カイロ」のように熱を発している

意外に思われるかもしれませんが、お腹の中の赤ちゃん自身も体温を持ち、母体に熱を伝えています。胎児の体温は母体より約0.5〜1度高く、37.5〜38度程度で保たれています。赤ちゃんが大きくなるにつれて、この熱源も大きくなります。

妊娠後期になると、赤ちゃんの体重は3000g前後になり、その全身が母体の体温より高い温度を維持しています。これは、まさにお腹の中に「人間のカイロ」を抱えているような状態です。特に、赤ちゃんが活発に動いているときは、より多くの熱が発生します。

たとえば、妊娠8か月のCさんは「赤ちゃんがよく動く夜は、特にお腹が熱く感じて眠れない」と話していました。これは、胎児の運動によって筋肉が働き、より多くの熱が発生しているためです。また、赤ちゃんの心臓も小さいながらも一分間に120〜160回も拍動しており、この活発な心拍も熱を生み出す要因の一つとなっています。

【シーン別】妊娠中のつらい暑さを乗り切る!今日からできる具体的な対策

妊娠中の暑さに対する効果的な対策は、生活シーンごとに異なります。ここでは、室内での過ごし方から外出時の注意点まで、具体的で実践しやすい方法をご紹介します。これらの対策を組み合わせることで、暑い季節でも快適に過ごすことができ、母体と赤ちゃんの健康を守ることができます。

対策1:室内での過ごし方|エアコンは「冷えすぎ」を防ぎながら賢く使う

妊娠中の室内環境で最も重要なのは、適切な温度設定でエアコンを使用し、冷えすぎを防ぎながら快適な温度を保つことです。妊婦さんにとって理想的な室温は24〜26度、湿度は50〜60%程度とされています。

エアコンの設定温度は、外気温との差が5度以内になるように調整しましょう。たとえば、外気温が35度の場合は、室温を30度に設定するのが理想的です。急激な温度変化は体に負担をかけ、自律神経の乱れや血圧の変動を引き起こす可能性があるためです。また、エアコンの風が直接体に当たらないよう、風向きを調整したり、扇風機を併用して空気を循環させたりすることも大切です。

冷えすぎを防ぐために、足元にはスリッパやルームソックスを着用し、肩や首元には薄手のカーディガンやストールを用意しておきましょう。妊娠6か月のDさんは「エアコンをつけながらも、お腹や足首は冷やさないよう気をつけています。腹巻きとレッグウォーマーは必需品です」と話していました。このように、部分的な冷え対策と全体的な涼しさのバランスを取ることが重要です。

対策2:寝苦しい夜の工夫|快適な睡眠で体力を回復させるコツ

妊娠中の暑い夜を快適に過ごすためには、寝具の選び方と寝室環境の整備が重要です。まず、敷きパッドや枕カバーには接触冷感素材を選び、肌に触れる部分の温度を下げましょう。接触冷感素材は、肌に触れた瞬間にひんやりとした感覚を与え、体感温度を2〜3度下げる効果があります。

パジャマは吸湿性と通気性に優れた天然素材(綿や麻)を選び、ゆったりとしたデザインのものを着用しましょう。体を締め付けない服装は血流を良くし、体温調節機能を正常に保ちます。また、就寝前の1〜2時間前からエアコンで寝室を冷やしておき、就寝後はタイマー設定で3〜4時間後に切れるように設定するのがおすすめです。

さらに、就寝前には38〜40度のぬるめのシャワーを浴びることで、一時的に体温を上げた後、体温が下がるタイミングで眠気が訪れやすくなります。妊娠7か月のEさんは「アイスノンを枕の下に入れて、首の後ろを冷やしながら寝ています。これだけで睡眠の質が格段に良くなりました」と話していました。首の後ろには太い血管が通っているため、この部分を冷やすことで効果的に体温を下げることができます。

対策3:食事と水分補給|夏バテや脱水を防ぐ食べ物・飲み物

妊娠中の暑さ対策では、体を内側から冷やし、同時に必要な栄養素をしっかり摂取することが重要です。水分補給は、一日に2〜2.5リットルを目安に、こまめに少しずつ摂取しましょう。一度に大量の水分を摂ると胃に負担をかけるため、30分〜1時間おきにコップ半分程度の水分を取るのが理想的です。

おすすめの飲み物は、常温の水や麦茶、ルイボスティーなどのカフェインレスのお茶です。スポーツドリンクを飲む場合は、糖分が多いため水で薄めて飲むか、妊婦さん向けの低糖タイプを選びましょう。冷たすぎる飲み物は胃腸に負担をかけ、体を芯から冷やしてしまうため、適度に冷やした程度にとどめることが大切です。

食事では、体を冷やす効果のある食材を積極的に取り入れましょう。きゅうり、トマト、ナス、スイカなどの夏野菜や果物には、体温を下げる作用と豊富な水分・ミネラルが含まれています。たとえば、朝食にトマトとモッツァレラチーズのカプレーゼを食べたり、昼食に冷やしそうめんにきゅうりやオクラをトッピングしたりするのがおすすめです。妊娠5か月のFさんは「毎朝、冷凍ブルーベリーをヨーグルトに入れて食べています。冷たくて美味しく、葉酸も摂れるので一石二鳥です」と話していました。

対策4:服装の選び方|涼しい素材と締め付けないデザインが鍵

妊娠中の服装選びでは、素材とデザインの両方が体温調節に大きく影響します。素材は、吸湿性と通気性に優れた天然繊維(綿、麻、シルク)を中心に選びましょう。これらの素材は汗を素早く吸収し、外に発散させる機能があるため、肌がべたつかず快適に過ごせます。

色選びも重要で、白やベージュ、薄いピンクなどの淡い色は熱を反射しやすく、体温上昇を抑える効果があります。反対に、黒や濃紺などの濃い色は熱を吸収しやすいため、暑い季節は避けた方が良いでしょう。また、UVカット機能のある素材を選ぶことで、紫外線による体温上昇も防げます。

デザイン面では、体を締め付けないゆったりとしたシルエットを選ぶことが大切です。特に、お腹周りやバスト周りに余裕があるデザインは、血流を妨げず体温調節機能を正常に保ちます。妊娠8か月のGさんは「リネン素材のワンピースを3着ローテーションで着ています。1着3000円程度で購入でき、洗濯もしやすくて重宝しています」と話していました。足元も、通気性の良いサンダルやメッシュ素材のスニーカーを選び、素足やフットカバーで過ごすことで足元の熱がこもりにくくなります。

対策5:外出時の注意点|時間帯を選び、持ち物を万全に

妊娠中の外出では、時間帯の選択と十分な準備が暑さ対策の鍵となります。最も気温が高くなる午前10時〜午後4時の外出は可能な限り避け、早朝や夕方の比較的涼しい時間帯を選びましょう。どうしても日中に外出する必要がある場合は、日陰を選んで歩き、こまめに涼しい場所で休憩を取ることが重要です。

持ち物としては、日傘、帽子、冷却タオル、保冷剤、水分補給用のドリンクを必ず携帯しましょう。日傘はUVカット率99%以上で、内側が黒いものを選ぶと、地面からの照り返しも防げます。冷却タオルは首に巻くことで効果的に体温を下げることができ、保冷剤は手首や足首などの脈拍を感じる部分に当てることで、全身の体温を効率的に下げられます。

移動手段も工夫しましょう。徒歩での移動が長時間になる場合は、タクシーやバスなどの公共交通機関を積極的に利用します。妊娠7か月のHさんは「夏場の買い物は、朝一番でスーパーに行き、帰りは必ずタクシーを使っています。暑さで体調を崩すリスクを考えると、タクシー代は必要経費だと思っています」と話していました。また、外出先では無理をせず、体調に少しでも異変を感じたら即座に涼しい場所で休憩を取ることが大切です。

暑さによるホットフラッシュだけじゃない!妊婦さんが注意すべき危険なサイン

妊娠中の暑がりは自然な現象ですが、中には医師の診察が必要な症状もあります。ここでは、単なる暑がりと区別すべき危険なサインと、緊急時の対応方法について詳しく解説します。これらの知識を持つことで、適切なタイミングで医療機関を受診し、母体と赤ちゃんの安全を守ることができます。

これって熱中症?病院に連絡すべき症状チェックリスト

妊娠中は通常よりも熱中症になりやすく、軽度の症状でも重篤化しやすいため、早期の対応が重要です。以下の症状が一つでも当てはまる場合は、すぐに涼しい場所で休憩し、水分補給を行った上で、医療機関に連絡しましょう。

まず注意すべき初期症状として、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、異常な疲労感があります。これらは熱中症の前兆として現れることが多く、妊娠中は体温調節機能が低下しているため、症状が急速に悪化する可能性があります。たとえば、「いつもより頭がぼーっとする」「少し動いただけで息切れする」といった軽微な変化でも、熱中症の始まりかもしれません。

さらに深刻な症状として、体温が38度以上ある、汗が全く出ない、意識がもうろうとする、激しい頭痛や吐き気がある場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。妊娠後期のIさんは「買い物中に急に気分が悪くなり、汗が止まらなくなって、店員さんに救急車を呼んでもらいました。熱中症と診断され、点滴治療を受けました」と体験を話していました。このように、妊娠中の熱中症は母体だけでなく胎児にも影響する可能性があるため、「大丈夫だろう」と我慢せず、早めの対応を心がけましょう。

お腹の張りや胎動の減少にも注意を

暑さが原因で起こる体調変化として、お腹の張りや胎動の変化にも注意が必要です。脱水状態になると子宮収縮が起こりやすくなり、早産のリスクが高まる可能性があります。特に妊娠28週以降は、1時間に4回以上のお腹の張りがある場合は、すぐに産婦人科に連絡しましょう。

お腹の張りの見分け方として、お腹全体が硬くなり、生理痛のような鈍い痛みが規則的に続く状態が張りのサインです。通常の胎動による違和感や、赤ちゃんの位置による局所的な圧迫感とは異なります。張りを感じた時は、まず横になって安静にし、水分を補給してください。30分程度安静にしても張りが続く場合は、医療機関に相談することが重要です。

胎動の変化についても注意深く観察しましょう。暑さによる母体の体調不良が続くと、赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が不十分になり、胎動が弱くなったり減少したりすることがあります。妊娠6か月以降は、一日に10回以上の胎動を感じるのが正常とされています。妊娠8か月のJさんは「暑い日が続いた時、いつもより胎動が少なく感じて心配になり、産婦人科を受診しました。結果的に問題はありませんでしたが、先生から『心配な時は遠慮なく来てください』と言われ、安心しました」と話していました。

先輩ママも活用!夏の妊娠生活を快適にするおすすめ便利グッズ

妊娠中の暑さ対策には、適切なグッズの活用が効果的です。ここでは、実際に妊娠を経験した先輩ママたちが「買って良かった」と評価する、実用性の高いアイテムをカテゴリー別にご紹介します。これらのグッズを上手に取り入れることで、暑い季節でも快適に過ごすことができ、妊娠生活の質を大幅に向上させることができます。

【寝具編】ひんやり快適!接触冷感敷きパッド・シーツ

質の良い睡眠を確保するために、接触冷感機能のある寝具は妊娠中の必需品です。特におすすめは、ニトリの「Nクール」シリーズやイオンの「ホームコーディ冷感」シリーズで、価格帯は敷きパッドが2000〜4000円、枕パッドが1000〜2000円程度と手頃です。

接触冷感敷きパッドを選ぶ際のポイントは、Q-max値(冷感度を示す数値)が0.3以上のものを選ぶことです。この数値が高いほど、肌に触れた時のひんやり感が強くなります。また、抗菌・防臭機能が付いているものを選ぶと、汗をかきやすい妊娠中でも清潔に使用できます。

実際に使用した妊娠8か月のKさんは「最初は冷たくて驚きましたが、慣れると本当に快適です。夜中に暑くて起きることが格段に減りました。洗濯機で丸洗いできるのも助かります」と話していました。さらに、枕パッドと敷きパッドをセットで使用することで、より効果的に体温を下げることができます。夏場は週に2〜3回洗濯することを考慮し、洗い替え用に2セット購入することをおすすめします。

【衣類編】肌に優しいマタニティ用の涼感パジャマ・インナー

妊娠中の肌は敏感になりやすいため、天然素材で作られた涼感機能付きのマタニティウェアを選ぶことが重要です。おすすめは、犬印本舗やピジョンなどのマタニティ専門ブランドから販売されている、竹繊維やオーガニックコットンを使用したパジャマセットです。価格は3000〜6000円程度で、産前産後長く使用できます。

竹繊維の特徴は、天然の抗菌・消臭効果があり、綿の約2倍の吸湿性を持つことです。また、肌触りがシルクのように滑らかで、敏感肌の妊婦さんにも安心して使用できます。パジャマのデザインは、前開きタイプを選ぶことで、産後の授乳時にも便利に使用できます。

インナーについては、授乳ブラ兼用のマタニティブラで、接触冷感機能付きのものがおすすめです。ワコールやトリンプなどから、1枚2000〜4000円程度で販売されています。妊娠6か月のLさんは「普通のブラジャーだと暑くて我慢できませんでしたが、冷感ブラに変えてから快適に過ごせています。ワイヤーがないので締め付け感もなく、一日中着けていても疲れません」と話していました。

【冷却グッズ編】首元や足の付け根を効果的に冷やすアイテム

体温を効率的に下げるためには、太い血管が通る部位を集中的に冷やすことが重要です。特に効果的なのは、首の後ろ、手首、足首、そけい部(足の付け根)を冷やすことです。これらの部位を冷やすことで、冷やされた血液が全身を巡り、体温を効果的に下げることができます。

おすすめの冷却グッズとして、まず「アイスリング」があります。価格は1500〜3000円程度で、28度以下で自然に固まる特殊な素材でできており、冷凍庫に入れる必要がありません。首に掛けるだけで約30分間冷却効果が持続し、繰り返し使用できます。

また、足の付け根を冷やすための「そけい部専用冷却パッド」も効果的です。白元アースから販売されている商品は、1箱(4枚入り)500円程度で、粘着力があるため動いてもずれにくい設計になっています。妊娠7か月のMさんは「外出時にアイスリングを首に掛けて、そけい部パッドを貼って出かけています。この組み合わせで、真夏でも30分程度の外出なら快適に過ごせます」と話していました。

さらに、持ち運びに便利な携帯用冷却スプレーもおすすめです。資生堂の「シーブリーズ」やコーセーの「雪肌精」シリーズなど、1本800〜1500円程度で購入できます。メントール成分が配合されており、衣服の上からスプレーするだけで瞬間的に涼しさを感じることができます。ただし、妊娠中は肌が敏感になっているため、必ず衣服の上から使用し、直接肌にスプレーしないよう注意しましょう。

まとめ:正しい知識と工夫で、夏の妊娠期間を少しでも快適に乗り切りましょう

妊娠中の暑がりは、ホルモンバランスの変化や新陳代謝の活発化、血液量の増加、そして赤ちゃん自身が発する熱など、複数の生理的要因が組み合わさった自然な現象です。これらの変化は、お腹の赤ちゃんが健やかに成長している証拠でもありますので、過度に心配する必要はありません。

重要なのは、適切な対策を講じることです。室内環境の調整、快適な睡眠環境の確保、適切な食事と水分補給、涼しい素材の服装選び、そして外出時の十分な準備により、暑い季節でも快適に過ごすことができます。また、接触冷感寝具や冷却グッズなどの便利アイテムを上手に活用することで、さらに快適性を向上させることができます。

ただし、めまい、頭痛、吐き気、お腹の張り、胎動の減少などの症状が現れた場合は、単なる暑がりではなく医師の診察が必要な可能性があります。我慢せずに早めに医療機関に相談することで、母体と赤ちゃんの安全を守ることができます。

妊娠期間は人生の中でも特別な時期です。暑さに負けず、正しい知識と適切な対策で、この貴重な時間を少しでも快適に過ごしていただければと思います。体調に不安を感じた時は、遠慮なく医療機関に相談し、安心して出産の日を迎えられるよう準備を進めていきましょう。

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