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2025.12.9

妊娠初期(4〜15週)

健康と美容

妊婦は膀胱炎になりやすい?症状と赤ちゃんへの影響・使える薬を解説

妊娠中は体の変化により膀胱炎になりやすく、不安を感じている妊婦さんも多いのではないでしょうか。排尿時の痛みや残尿感といった症状が現れたとき、「赤ちゃんへの影響は大丈夫だろうか」「薬を飲んでも安全なのか」と心配になるのは当然のことです。

妊娠中の膀胱炎は、適切に対処すれば赤ちゃんへの影響を心配する必要はありません。むしろ、放置してしまうことの方がリスクにつながります。この記事では、妊娠初期から後期まで注意したい膀胱炎の症状、胎児への影響、使える薬、そして予防法まで、妊婦さんが知っておくべき情報を詳しく解説していきます。

妊娠初期から後期に多い膀胱炎の症状チェック

妊娠中は子宮が大きくなることで膀胱が圧迫され、またホルモンバランスの変化により免疫力が低下するため、膀胱炎にかかりやすい状態になっています。妊娠のどの時期でも発症する可能性がありますが、特に妊娠初期から後期にかけて注意が必要です。

頻尿や残尿感および排尿時の痛み

妊娠中は頻尿になりやすいため、膀胱炎の症状と区別がつきにくいことがあります。しかし、排尿時の痛み、特に排尿の終わりにツーンとした痛みを感じる場合は膀胱炎の可能性が高くなります。

また、トイレに行ったばかりなのにすぐにまた行きたくなる残尿感も、膀胱炎の特徴的な症状です。膀胱の知覚神経が刺激されることで、実際には尿が溜まっていないのに尿意を感じてしまうのです。さらに、尿意を我慢できないような切迫感や、一日に8回以上トイレに行く頻尿が見られることもあります。

これらの症状が複数当てはまる場合、単なる妊娠による頻尿ではなく膀胱炎を発症している可能性があるため、早めの受診を検討しましょう。

尿の白濁や血尿および下腹部の違和感

膀胱炎が進行すると、尿の色や見た目にも変化が現れることがあります。尿が白く濁っていたり、ピンク色や茶色がかった血尿が見られたりする場合は、膀胱内で炎症が進んでいるサインです。

また、下腹部の違和感や痛みを感じることもあります。膀胱のあたりに重苦しさや鈍い痛みがある場合、膀胱の粘膜に炎症が起きている可能性があります。膀胱炎では通常、発熱は見られませんが、もし発熱や背中の痛みを伴う場合は、感染が腎臓まで広がっている恐れがあるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。

尿の状態は妊婦健診での尿検査でもチェックされますが、ご自身でもトイレの際に尿の色や濁りを確認する習慣をつけておくとよいでしょう。

放置による胎児への影響と腎盂腎炎のリスク

妊娠中の膀胱炎を「よくあることだから」と軽視して放置してしまうと、母体と赤ちゃんの両方に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

膀胱炎の細菌が赤ちゃんに直接届く可能性は低い

まず安心していただきたいのは、膀胱炎の細菌が直接赤ちゃんに感染することは極めて稀だということです。膀胱は子宮とは別の器官であり、膀胱内の細菌が赤ちゃんのいる子宮内に侵入することは通常ありません。

軽度の膀胱炎であれば、適切に治療を受ければ赤ちゃんへの直接的な影響はほとんどないとされています。妊娠中に処方される抗生物質も、胎児への安全性が確認されたものが選ばれますので、医師の指示に従って服用すれば心配する必要はありません。

重症化による腎盂腎炎と早産や流産の危険性

しかし、膀胱炎を放置すると話は変わってきます。膀胱の細菌が尿管を逆流して腎臓まで達すると、腎盂腎炎という重篤な感染症に進行する恐れがあります。腎盂腎炎になると、高熱や背中の痛み、悪寒、全身倦怠感といった症状が現れ、入院治療が必要になることもあります。

さらに深刻なのは、腎盂腎炎による炎症が子宮収縮を引き起こし、早産や流産のリスクを高めてしまう点です。また、前期破水の危険性も上昇します。妊婦さんの約15パーセントに見られる無症候性細菌尿という状態を治療せずにいると、尿路感染症を発症するリスクが非妊娠女性に比べて20から30倍も高くなることが分かっています。

このように、膀胱炎そのものより、放置による重症化が母子の健康を脅かすのです。症状に気づいたら、自己判断で様子を見るのではなく、速やかに医療機関を受診することが大切です。

妊娠中に使える抗生物質と薬の安全性

妊娠中に薬を服用することへの不安は、多くの妊婦さんが抱える悩みです。しかし、膀胱炎の治療では、妊娠中でも安全に使用できる抗生物質があり、適切に治療することの方が重要です。

妊婦に処方されるセフェム系やペニシリン系抗菌薬

妊娠中の膀胱炎治療では、セフェム系抗生物質やペニシリン系抗生物質が第一選択薬として使用されます。これらの抗菌薬は、胎児への安全性が確認されており、妊娠のどの時期でも使用できるとされています。

具体的には、セファレキシンやニトロフラントインなどが処方されることが多く、通常5日から7日間の服用で症状が改善します。重要なのは、症状が改善しても自己判断で服用を中止しないことです。膀胱内に細菌が残っている可能性があり、中途半端に服用を止めると再発のリスクが高まります。また、薬剤耐性菌が生まれる原因にもなりますので、医師から指示された期間はきちんと服薬を続けましょう。

治療後は、完全に治癒したかを確認するために尿検査を行うことが推奨されています。特に腎盂腎炎を起こしたことがある妊婦さんや、膀胱炎を2回以上繰り返している場合は、再発予防のために妊娠期間中の抑制療法が必要になることもあります。

漢方薬の猪苓湯や五淋散の活用

抗生物質と併用して、漢方薬を処方されることもあります。代表的なものとして猪苓湯五淋散があり、これらは膀胱炎の症状緩和や再発予防に役立つとされています。

猪苓湯は、利尿作用のある生薬と止血作用のある阿膠という成分が配合されており、排尿痛や残尿感、血尿などの症状を和らげる効果が期待できます。五淋散は、やや体力が低下した方の排尿時の痛みや残尿感に効果があるとされています。

ただし、漢方薬には細菌を直接殺す作用はありませんので、あくまで抗生物質の補助的な役割として使用されます。膀胱の粘膜の状態を整えたり、炎症を和らげたりすることで、治療をサポートするのが漢方薬の目的です。

市販薬の自己判断による服用の危険性

妊娠中の膀胱炎では、市販薬を自己判断で服用することは絶対に避けてください。市販の膀胱炎治療薬や抗生物質には、妊娠中に使用すると胎児に影響を与える可能性がある成分が含まれていることがあります。

例えば、一般的に膀胱炎治療で使用されるクラビットという抗生物質は、妊婦には使用できません。また、妊娠前に処方された薬や、他の人が処方された薬を使用することも危険です。妊娠の時期によって使える薬が異なることもあるため、必ず産婦人科で相談し、妊娠していることを伝えた上で適切な薬を処方してもらいましょう。

症状が軽いからといって薬を使わずに様子を見ようとするのも危険です。非妊娠時の単純性膀胱炎であれば水分摂取だけで改善することもありますが、妊娠中の膀胱炎は重症化しやすく、抗生物質による治療が必要とされています。

産婦人科とかかりつけ医への受診判断

膀胱炎の症状に気づいたとき、どこに相談すればよいのか迷う妊婦さんも多いでしょう。妊娠中は、まず産婦人科に相談するのが基本です。

妊婦健診を行う産婦人科への相談が最優先

膀胱炎の症状が現れたら、まずはかかりつけの産婦人科に相談してください。泌尿器科を受診するべきか迷う方もいらっしゃいますが、妊娠中は産婦人科で膀胱炎の診断と治療を受けることができます。

産婦人科医は妊娠中に使用できる薬に精通しており、妊婦さんの週数や体調を考慮した上で最適な治療法を提案してくれます。また、定期的な妊婦健診で尿検査を行っているため、無症状の段階で細菌尿が発見されることもあります。この場合も、症状がなくても治療が必要になることがありますので、医師の指示に従いましょう。

もし産婦人科が休診日で急を要する場合や、夜間に症状が悪化した場合は、休日夜間診療や救急外来を受診することも検討してください。特に発熱や強い背中の痛みがある場合は、腎盂腎炎の可能性があるため、すぐに受診が必要です。

尿検査と尿培養検査による診断の流れ

産婦人科では、まず尿検査を行って膀胱炎の診断をします。尿中の白血球や細菌の有無、尿蛋白の程度などをチェックし、感染の有無を確認します。妊婦健診で行われる通常の尿検査でも、膀胱炎の兆候を発見できることがあります。

さらに詳しく調べる必要がある場合は、尿培養検査を行います。この検査では、尿の中にどのような細菌が存在し、どの抗生物質が効果的かを調べることができます。結果が出るまでに数日かかりますが、より確実な治療につながります。

膀胱炎の原因菌の70から80パーセントは大腸菌ですが、その他にもブドウ球菌や連鎖球菌などが原因となることもあります。尿培養検査により原因菌が特定できれば、その菌に最も効果的な抗生物質を選択できるため、治療効果が高まります。

治療開始から1週間後には再度尿検査を行い、細菌が完全に消失したかを確認します。この確認検査は非常に重要ですので、必ず受診するようにしてください。

水分摂取による予防と自宅でのケア方法

膀胱炎を予防するためには、日常生活での心がけが大切です。特に水分摂取は、妊娠中の膀胱炎予防の基本となります。

1日1.5リットル以上の水や麦茶の摂取

こまめな水分補給は、膀胱炎予防の最も効果的な方法です。1日に1.5リットル以上の水分を摂取することを目標にしましょう。十分な水分をとることで尿量が増え、膀胱内に入った細菌を尿と一緒に洗い流すことができます。

妊娠中におすすめの水分は、水や麦茶などのノンカフェイン飲料です。コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェイン入り飲料は、頻尿を助長するだけでなく、大量に摂取すると赤ちゃんへの影響も心配されるため、控えめにしましょう。

トイレが近くなることを気にして水分を控える妊婦さんもいらっしゃいますが、これは逆効果です。水分不足により尿が濃縮され、細菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。外出時はトイレの場所を事前に確認する、仕事中は離席しやすいように配慮してもらうなど、安心して水分をとれる環境を整えることが大切です。

トイレを我慢しない排尿習慣と陰部の清潔

尿意を感じたらすぐにトイレに行く習慣をつけましょう。トイレを我慢すると、膀胱内に尿が長時間溜まり、細菌が繁殖する時間を与えてしまいます。特に仕事や家事で忙しいと、つい我慢してしまいがちですが、膀胱炎予防のためには排尿を我慢しないことが重要です。

また、陰部の清潔を保つことも大切です。膀胱炎の原因となる大腸菌は、肛門周辺に存在する常在菌です。排便後は、前から後ろに向かって拭くようにし、大腸菌が尿道に侵入しないよう注意しましょう。排尿後も同様に、外陰部を清潔に保つよう心がけてください。

ただし、洗いすぎは膣の自浄作用を低下させる恐れがあるため、過度な洗浄は避けましょう。やさしく洗う程度で十分です。

下半身の冷え対策と免疫力の維持

下半身の冷えは、頻尿の原因になるだけでなく、免疫力の低下にもつながります。寒い場所での作業を避ける、冷房が効いた室内では膝掛けを使用する、冬の外出時にはカイロを利用するなど、積極的に冷え対策を行いましょう。

妊娠中は免疫力が低下しているため、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事で体調を整えることも重要です。疲労やストレスが溜まると、さらに免疫力が低下し、膀胱炎にかかりやすくなります。

ビタミンAを豊富に含む緑黄色野菜やきのこ類は、粘膜を強化し免疫力を高める働きがあるため、積極的に摂取するとよいでしょう。また、規則正しい生活リズムを保ち、無理をしすぎないことも大切です。

妊婦の膀胱炎に関するよくある質問

妊娠中の膀胱炎について、多くの妊婦さんが抱える疑問にお答えします。

水分補給にバナジウム入りミネラルウォーターは有効か

バナジウム入りミネラルウォーターについては、膀胱炎予防に特別な効果があるという医学的な根拠はありません。大切なのは水分を十分にとることであり、特定のミネラルウォーターにこだわる必要はないでしょう。

通常の水道水や市販のミネラルウォーターで十分です。ただし、硬度の高い水は体質によってお腹を壊すこともあるため、自分に合った水を選ぶことが大切です。温かい麦茶や白湯なども、冷え対策の観点からおすすめです。

病院に行かず自然治癒する可能性

妊娠していない健康な方の単純性膀胱炎であれば、十分な水分摂取と頻回の排尿により自然に改善することもあります。しかし、妊娠中の膀胱炎は自然治癒を期待せず、必ず医療機関を受診してください

前述のとおり、妊娠中は免疫力が低下しており、膀胱炎が重症化しやすい状態にあります。放置すると腎盂腎炎に進行し、早産や流産のリスクを高めてしまいます。「軽い症状だから大丈夫」と自己判断せず、少しでも膀胱炎の症状を感じたら産婦人科に相談しましょう。

また、症状がなくても妊婦健診の尿検査で細菌が見つかった場合は、無症候性細菌尿として治療が必要になります。医師の指示に従い、しっかりと治療を受けることが、赤ちゃんとお母さんの健康を守ることにつながります。

まとめ

妊娠中の膀胱炎は、誰にでも起こりうることですので、過度に心配する必要はありません。大切なのは早めに気づいて適切に対処することです。排尿時の痛みや残尿感などの症状があれば、遠慮なくかかりつけの産婦人科に相談しましょう。妊娠中でも安全に使える薬がありますので、医師の指示に従って治療を受けることで、赤ちゃんもお母さんも健康を守ることができます。日頃から水分をしっかりとり、トイレを我慢せず、体を冷やさないよう心がけることで予防もできます。少しでも気になることがあれば、一人で抱え込まず、医師や助産師に相談してくださいね。

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