風疹という感染症について知っていますか？名前は聞いたことがあるというパパもいるのではないでしょうか？
ここでは、妊娠中に風疹にかかることで心配される赤ちゃんへの影響と、今からできる対策についてお話ししていきます。

風疹とはどんな病気なの？

風疹はウイルスの感染によって起こる急性ウイルス性発疹症です。主な症状として発熱、発疹、リンパ節腫脹がみられます。症状はあまり認識されない程度のものから、重篤な合併症を引き起こすものまで幅広く、症状のみでは風疹と診断することは困難です。風疹の根本的な治療方法はなく、発熱に対して解熱剤を使用するなどの対症療法が主な治療となります。

妊娠中に風疹にかかるとどうなるの？

妊娠20週までの妊婦さんが風疹に罹患してしまうと、赤ちゃんに白内障や緑内障などの眼の症状、心臓の異常、耳が聞こえなくなるなどの先天異常を引き起こすことがあります。これを先天性風疹症候群と呼びます。
先天性風疹症候群の発症リスクは感染時の妊娠週数が進むにつれ減少すると報告されています。（妊娠4～6週で100％、妊娠7～12週で80％、妊娠13～16週で45～50％、妊娠17～20週で6％、妊娠20週以降で0％）

妊婦健診では、必ず風疹の抗体（抗体価）を調べます。昔予防接種を受けたけれど抗体の量が少なくなってしまった人も感染する可能性があるので、今の抗体価の数値をチェックすることはとても大切です。

風疹予防について

風疹そのものへの治療法はありません。罹患しないように予防をすることが最も重要で、その中でも予防接種が最も有効な予防法と言えるでしょう。HI抗体値が16倍以下の場合は風疹ワクチンの接種が推奨されていますが、生ワクチンのため妊娠中の風疹ワクチンの接種はできません。
そのため妊娠前に予防接種を行い、しっかりと抗体ができているか確認できると安心です。

HI抗体価が16倍以下の妊婦は人混みや子どもの多い場所を避けることと、パートナーや同居している家族、職場の同僚へ風疹抗体検査をお願いすることが理想的です。特に妊娠を望むパートナーの予防はとても大切です。パートナーの抗体の数値が低い場合は将来の赤ちゃんのために予防接種を検討することをお勧めします。

風疹ワクチン接種後は2ヶ月間の避妊を行うことが必要ですが、これまでの風疹ワクチンによる先天性風疹症候群の報告はありません。接種直後に妊娠が判明した場合も過度の心配は入りません。また、産後は速やかに風疹ワクチンの接種を行うことをお勧めします。授乳中でも赤ちゃんに影響が及ぶことはありませんので安心してください。

風疹患者の多くはパパ世代！？

風疹の主な患者は30代～50代のパパ世代の成人男性です。

昭和52年度（1977年度）から公的な風しんの予防接種制度が設けられ、女性は予防接種を受けるようになりました。また、その後の制度改正により、昭和54年（1979年）4月2日以降に生まれた人は男女とも予防接種を受けるようになっています。しかし、昭和54年（1979年）4月1日以前に生まれた男性は、このような公的な風しんの予防接種の機会がなかったため、風しんの免疫（抗体）を持っていない人が多いと言われています。

妊婦さんのいちばん身近な存在であるパートナーが、真っ先に麻疹風疹ワクチンを接種して予防することがとても大切です。

ちなみに、「子どものころに風疹にかかったことがあるから大丈夫！」という人でも、実際に検査をしてみると約半数の人が実は記憶違いだったり、別の病気だったという報告もあります。パートナーの予防接種の記録が確認できない場合は、なるべく早く抗体検査や予防接種を受けてもらいましょう。

厚生労働省は1962（昭和37）年4月2日～1979（昭和54）年4月1日生まれの男性を対象として、風しんの抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券を配布する事業を実施しています。

また、子ども向けの定期接種も大事です。子どもがいる家庭では、1歳児と小学校入学前1年間に行う「麻しん（はしか）」　「風しん」の定期予防接種を受けさせましょう。多くの市区町村で、無料で受けることができます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html
出典：厚生労働省ホームページ

予防接種の実施医療機関については、お住まいの地域の自治体にお問い合わせください。

妊娠を望む方は、ご自身とパートナー・周囲の方に対して抗体の検査と公的な予防接種をぜひ検討してみてくださいね。