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2026.11.2 / 最終更新日: 2026.11.02

妊娠初期(4〜15週)

マタニティライフの過ごし方

妊婦のインフルエンザ予防接種は安全?胎児への影響と接種時期

インフルエンザが流行する季節になると、産婦人科で予防接種を勧められて「妊娠中にワクチンを打っても大丈夫?」「お腹の赤ちゃんに影響はない?」と迷う妊婦さんは少なくありません。

結論からお伝えすると、妊婦へのインフルエンザ予防接種は、妊娠のどの時期でも受けられ、国内外の医療機関から推奨されています。この記事では、ワクチンの安全性や胎児への影響、妊娠中に感染した場合のリスク、接種に適した時期、副反応の注意点までをわかりやすく解説します。納得して接種を判断するための参考にしてください。

妊娠中のインフルエンザ予防接種は推奨されている

妊娠中は免疫のはたらきや心肺の状態が変化するため、インフルエンザにかかると重症化しやすいことが知られています。そのため、日本の産婦人科の診療ガイドラインや世界保健機関(WHO)、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)などでは、妊婦さんへのインフルエンザワクチンの接種が推奨されています。

ワクチンは毎年流行が予測されるウイルスの型に合わせて作られているため、前年に接種した人も、そのシーズンごとに接種することが大切です。

妊娠初期・中期・後期の接種可否

インフルエンザワクチンは、妊娠週数に関係なく、妊娠の全期間を通して接種できるとされています。「妊娠何週から」という決まりはなく、流行シーズンが近づいたら、その時点の妊娠週数で接種してかまいません。

妊娠初期は、赤ちゃんの体の器官が作られる大切な時期のため、不安に感じる方も多いでしょう。しかし、この時期に接種しても先天異常などが増えるという報告はなく、接種は可能です。心配な場合は、主治医と相談してタイミングを決めると安心です。

妊娠中期・後期は、お腹が大きくなって肺や心臓への負担が増え、特に重症化しやすい時期です。また、後期に接種すると生まれてくる赤ちゃんへ渡る抗体が多くなるため、积極的な接種がすすめられています。

不活化ワクチンの安全性と経鼻生ワクチンの注意点

一般的なインフルエンザワクチン(腕に注射するタイプ)は、不活化ワクチンです。不活化ワクチンとは、ウイルスの感染力をなくし、免疫をつくるために必要な成分だけを取り出したものです。体内でウイルスが増えることはないため、ワクチンが原因でインフルエンザを発症したり、お腹の赤ちゃんに感染したりする心配はありません。

一方、鼻にスプレーする経鼻弱毒生ワクチンは、毒性を弱めた生きたウイルスを使うため、妊婦さんは接種できません。注射が不要で上のお子さん向けに選ばれることもありますが、妊婦さんご自身は必ず注射の不活化ワクチンを選びましょう。

なお、ワクチンの中には保存剤を含むものもありますが、含まれる量はごくわずかで、胎児への悪影響は確認されていません。気になる方は、保存剤を含まないワクチンを扱っているか医療機関に確認してみましょう。

インフルエンザワクチンの胎児・赤ちゃんへの影響

お母さんがいちばん気になるのは、ワクチンがお腹の赤ちゃんにどう影響するかではないでしょうか。ここでは、これまでの研究でわかっていることをご紹介します。

流産・早産・先天異常との関連

妊婦さんへのインフルエンザワクチン接種については、国内外で多くの研究が行われています。その結果、ワクチンの接種によって流産・早産・先天異常のリスクが高まるという証拠は示されていません。

むしろ、接種した妊婦さんのほうが、早産や低出生体重児が少なかったという報告もあります。これは、インフルエンザによる高熱や体力の消耗を防げたことが関係していると考えられています。

もちろん、妊娠中はワクチンとは関係なく、一定の割合で流産などが起こることがあります。接種の時期と重なっただけで「ワクチンのせい」というわけではないことも知っておきましょう。

胎盤を通じた抗体移行と出生後の赤ちゃんへの予防効果

妊娠中にワクチンを接種すると、お母さんの体で作られた抗体(ウイルスと戦うための免疫物質)が胎盤を通して赤ちゃんに届きます。これを「抗体移行」といいます。

インフルエンザワクチンは生後6か月未満の赤ちゃんには接種できないため、この時期の赤ちゃんを守る手段は限られています。海外の研究では、妊娠中にお母さんが接種することで、生後数か月間の赤ちゃんのインフルエンザ感染や入院が減ったと報告されています。

つまり、妊娠中の予防接種は、お母さん自身だけでなく、生まれてくる赤ちゃんを守ることにもつながるのです。

妊婦がインフルエンザに感染した場合のリスク

インフルエンザは、38℃以上の高熱や関節痛、筋肉痛、強いだるさなどの症状が急に現れる感染症です。妊娠中は、妊娠していないときよりも体への負担が大きくなりやすいため、注意が必要です。

妊娠中の重症化・肺炎・入院リスク

妊娠中は、赤ちゃんを異物として攻撃しないように免疫のはたらきが変化します。さらに、大きくなった子宮に横隔膜が押し上げられて呼吸が浅くなりやすく、心臓や肺にも負担がかかっています。

このような理由から、妊婦さんはインフルエンザにかかると肺炎などを起こして重症化しやすく、入院が必要になる割合も高いことがわかっています。特に妊娠後期や産後間もない時期、ぜんそくや糖尿病などの持病がある方はリスクが高いとされています。

息苦しさ、胸の痛み、水分がとれない、熱が下がらないといった症状は重症化のサインです。このような場合は、すぐに医療機関へ連絡しましょう。

高熱や感染による胎児への影響

インフルエンザウイルス自体が胎盤を通して赤ちゃんに感染することはまれです。しかし、お母さんの高熱が続くことが、お腹の赤ちゃんに影響する可能性が指摘されています。

たとえば、妊娠初期の高熱は赤ちゃんの先天異常との関連が報告されており、妊娠中期以降では切迫早産や早産のきっかけになることがあります。また、お母さんが重い肺炎になると、赤ちゃんに届く酸素が不足するおそれもあります。

このように、妊娠中のインフルエンザはお母さんと赤ちゃんの両方にとってリスクがあるため、かからないこと、かかっても重症化させないことが大切です。

妊婦がインフルエンザ予防接種を受けるメリット

妊娠中は使える薬が限られたり、体調を崩すと回復に時間がかかったりします。予防接種は、そうした不安を減らすための有効な備えです。

インフルエンザの発症・重症化予防効果

インフルエンザワクチンには、発症を一定の割合で防ぐ効果と、かかっても重症化を防ぐ効果があります。流行するウイルスの型とワクチンの型がどれくらい一致するかによって効果は年ごとに異なりますが、接種した人はしていない人に比べて発症しにくくなります。

さらに重要なのが重症化を防ぐ効果です。妊婦さんを対象とした海外の研究では、接種によってインフルエンザによる入院が大きく減ったと報告されています。先ほど触れた赤ちゃんへの抗体移行も含めると、一度の接種でお母さんと赤ちゃんの両方を守れることが大きなメリットです。

予防接種に適した時期と接種回数

日本では、インフルエンザは例年12月ごろから流行しはじめ、1〜3月にピークを迎えることが多いです。ワクチンは接種してから約2週間で効果が現れ、約5か月間続くとされています。

そのため、10月〜12月中旬ごろまでに接種を済ませるのが理想的です。ただし、流行が始まってからでも接種する意味はあるため、接種しそびれている場合は早めに医療機関へ相談しましょう。出産予定日が流行期と重なる方は、特に早めの接種をおすすめします。

接種回数は、13歳以上は原則1回です。妊婦さんも、1シーズンに1回の接種で十分とされています。

接種はかかりつけの産婦人科で受けられることが多く、内科などで受ける場合は妊娠中であることを必ず伝えましょう。費用は原則自費ですが、自治体によっては妊婦さんへの助成制度を設けている場合もあるため、お住まいの地域で確認してみてください。

インフルエンザ予防接種の副反応と注意点

妊婦さんに接種した場合の副反応は、妊娠していない人と大きな違いはありません。どのような症状が出る可能性があるのか、事前に知っておくと落ち着いて対応できます。

接種後の発熱・腫れ・アレルギー反応

接種部位の腫れ・赤み・痛み

最も多い副反応は、注射した部分の腫れや赤み、痛みです。接種した人の10〜20%程度にみられますが、通常は2〜3日で自然に治まります。

発熱・だるさ・頭痛

全身の反応として、発熱やだるさ、頭痛、寒気が出ることがあります。こちらも接種した人の5〜10%程度で、多くは2〜3日でおさまります。熱が高い、長引くといった場合は自己判断で市販薬を飲まず、産婦人科に相談しましょう。

アレルギー反応

ごくまれに、じんましんやかゆみ、息苦しさなどのアレルギー反応が起こることがあります。重いアレルギー反応(アナフィラキシー)は接種後30分以内に起こることが多いため、接種後30分間は医療機関内で様子を見ると安心です。

接種当日は激しい運動や飲酒を避け、普段どおりの生活を心がけましょう。入浴は問題ありませんが、注射した部分を強くこすらないようにしてください。

予防接種を控えるべき体調や健康状態

次のような場合は、接種を延期したり、事前に医師と相談したりする必要があります。

発熱している、体調が悪いとき

接種当日に37.5℃以上の発熱がある場合は、接種を受けられません。つわりが強い、お腹の張りがあるなど体調がすぐれないときも、無理をせず日を改めましょう。

過去にワクチンで重いアレルギーが出たことがあるとき

以前のインフルエンザワクチンでアナフィラキシーを起こしたことがある方は、接種できません。接種後に発熱や発疹があった方も、必ず予診票に記入して医師に伝えてください。

卵アレルギーや持病があるとき

インフルエンザワクチンは製造過程で鶏卵を使うため、卵アレルギーがある方は事前に相談が必要です。ただし、含まれる卵の成分はごくわずかで、多くの場合は接種可能とされています。心臓病やけいれんなどの持病がある方も、主治医と相談のうえで接種しましょう。

妊娠中・授乳中のインフルエンザに関するよくある質問

予防接種後にインフルエンザに感染することはある?

予防接種を受けていても、インフルエンザにかかることはあります。ワクチンは感染を完全に防ぐものではなく、接種から効果が現れるまでの約2週間は感染しやすい状態です。ただし、接種していれば症状が軽く済むことが期待できます。

接種後も、こまめな手洗いやマスクの着用、室内の換気、人混みを避けるといった感染対策を続けましょう。ご家族がウイルスを持ち込むことも多いため、パートナーや同居する家族も予防接種を受けると、より安心です。

妊娠中に感染したらタミフルなどの治療薬は使える?

妊娠中でも、タミフル(一般名:オセルタミビル)などの抗インフルエンザ薬は使用できます。これまでの使用実績から、胎児への重大な影響は報告されておらず、重症化を防ぐために積極的な治療がすすめられています。

抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に飲み始めると効果が高いため、発熱などの症状が出たら早めに受診しましょう。受診前には電話で症状を伝え、他の妊婦さんへの感染を防ぐための指示を受けると安心です。

授乳中でもインフルエンザの予防接種は受けられる?

授乳中も、インフルエンザの予防接種は受けられます。不活化ワクチンは母乳を通じて赤ちゃんに悪影響を与えることはなく、接種後もいつもどおり授乳してかまいません。

産後は寝不足や疲れから体調を崩しやすく、お母さんが感染すると赤ちゃんにうつしてしまうおそれもあります。妊娠中に接種できなかった方も、流行シーズンであれば産後の接種を検討しましょう。なお、タミフルなどの抗インフルエンザ薬も、授乳中に使用できるとされています。

まとめ

妊婦さんのインフルエンザ予防接種は、妊娠の全期間を通して受けられ、胎児への悪影響も確認されていません。妊娠中は重症化しやすいため、接種はお母さん自身を守るだけでなく、抗体移行によって生まれてくる赤ちゃんを守ることにもつながります。

流行前の10〜12月中旬を目安に、体調のよい日を選んで接種しましょう。不安なことがあれば、まずはかかりつけの産婦人科で相談し、納得したうえで予防接種を受けてください。

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