妊娠初期(4〜15週)
妊娠・出産の基礎知識
双子の妊娠は必ず帝王切開?出産方法とリスクを解説
双子を妊娠していると分かると、うれしさと同時に「これからどうなるのだろう」と不安になる方が多いと思います。双子の妊娠は、ひとりの赤ちゃんを妊娠する場合と、健診の回数や出産の進め方が少し違います。
この記事では、出産方法・膜性診断・リスク・健診と管理入院・体重管理の順に、やさしく説明します。時期や回数は病院によって方針が違うため、最終的には必ず担当の先生の説明を優先してください。

双子の出産方法は帝王切開と経腟分娩の2通り
双子の出産には、帝王切開と経腟分娩(産道を通って産む方法)の2通りがあります。「双子だから必ず帝王切開」と決まっているわけではありません。赤ちゃんの状態や病院の方針によって選び方が変わります。
どちらの場合も、予定日まで待たずに、少し早めに出産することが多いです。
予定帝王切開の目安は妊娠37週
双子の出産時期は、病院や赤ちゃんの状態によって違います。たとえば、ある大学病院の資料では、予定帝王切開は妊娠37週が目安とされています。また、別の専門病院では、妊娠8か月ごろに管理入院をして、9か月ごろに計画的に帝王切開で出産するという方針も示されています。
つまり、時期は病院ごとに少しずつ違うということです。早産になりそうなときや合併症があるときは、さらに早めに出産することもあります。
経腟分娩が可能な条件は頭位と頭位
経腟分娩を選べる主な条件は、次のとおりです。
- 2人の赤ちゃんが、どちらも頭位(頭が下を向いた状態)であること
- 早産の時期ではなく、妊娠37週以降であること
- 赤ちゃんが大きすぎたり、小さすぎたりしないこと
先に生まれる赤ちゃんが頭位でない場合は、帝王切開をすすめられることが一般的です。ただし、条件は病院によって違います。経腟分娩を希望するときは、早めに先生へ相談してください。
帝王切開と経腟分娩の比較表
| 項目 | 帝王切開 | 経腟分娩 |
|---|---|---|
| 主な条件 | 赤ちゃんの向きや状態に応じて選ばれる | 頭位と頭位、妊娠37週以降など病院ごとの条件を満たすこと |
| 出産の時期 | 予定日を決めて行う(37週が目安の病院がある) | 陣痛や状況に合わせて進む |
| 特徴 | 日程をあらかじめ決めやすい | 条件を満たした場合に選べる |
膜性診断で決まる双子の分類
双子は、膜性という分け方で、妊娠中の管理が変わります。膜性とは、赤ちゃんが入っている袋(羊膜)と、赤ちゃんと子宮をつなぐ胎盤の数による分類です。
膜性診断の時期は妊娠10週頃まで
膜性は、妊娠初期の超音波検査で調べます。これを膜性診断といいます。ある大学病院の資料では、妊娠10週頃までに膜性診断を行うとされています。
膜性によって、妊娠中に起こりやすい合併症の頻度が違います。そのため、双子の妊娠では膜性診断を確実に受けることが大切です。
MD双胎・DD双胎・MM双胎の違い
膜性は、大きく3つに分けられます。
二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎)
赤ちゃんが別々の胎盤を持ち、別々の羊膜に包まれています。二絨毛膜性双胎とも呼ばれます。二卵性の双子のほとんどはこのタイプです。
一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎)
2人の赤ちゃんが1つの胎盤を共有し、別々の羊膜に包まれています。一絨毛膜性双胎の一種です。一卵性の双子では約75%がこのタイプといわれています。
一絨毛膜一羊膜双胎(MM双胎)
同じ胎盤と、同じ羊膜を共有しています。数が少なく、一絨毛膜性双胎のうち1〜5%程度、10,000回の妊娠に1回ほどと報告されています。胎児の死亡率が10〜15%とされ、ほかの膜性より慎重な管理が必要です。
一卵性と二卵性の違い
一卵性は、1つの受精卵が2つに分かれて育つ双子で、性別や血液型が同じになります。二卵性は、2つの受精卵がそれぞれ育つ双子で、兄弟姉妹が同時にお腹にいるようなイメージです。
ここで注意したいのは、「卵性」と「膜性」は別の分類だということです。一卵性でも膜性が違うことがあります。性別が違えば二卵性ですが、同じ性別でも一卵性とは限りません。
双子妊娠で高まるリスクと合併症
双子の妊娠では、ひとりの赤ちゃんの場合より、いろいろなトラブルが起こりやすくなります。ただ、健診で早めに見つけて対応すれば、落ち着いて過ごせることも多いです。早めの受診と、先生に相談する習慣が大切です。
早産と切迫早産
双子では子宮が大きく伸びるため、お腹が張りやすく、切迫早産(早産になりかけている状態)や早産になりやすくなります。
治療は、安静や、子宮の収縮をおさえる点滴などです。病院によっては、妊娠20週前後と28週前後に、子宮の出口(子宮頸管)の長さを経腟超音波で測り、早産の危険を調べています。
妊娠高血圧症候群と妊娠糖尿病
妊娠高血圧症候群は、血圧が上がったり、尿にたんぱくが出たりする病気です。妊娠糖尿病は、血糖値が上がりやすくなる状態です。双子では、どちらも起こりやすいといわれています。
お腹が大きくて一度にたくさん食べにくいときは、食事を何回かに分けて食べる方法があります。
そのほか、貧血、産後の出血が増えることなどにも注意が必要です。
一絨毛膜性双胎に起こる双胎間輸血症候群
双胎間輸血症候群は、1つの胎盤を共有している一絨毛膜性双胎で起こる病気です。胎盤の血管を通って、一方の赤ちゃんからもう一方へ血液が多く流れてしまいます。その結果、片方は羊水が減り、もう片方は羊水が増えます。MD双胎の約1割に起こるといわれています。
発症した時期によっては、おなかの中で行う治療を検討することもあります。そのため、一絨毛膜性の場合は、特に健診をしっかり受けることが大切です。
妊婦健診は基本2週間に1回
ある大学病院の資料では、双子の妊婦健診は基本的に2週間に1回とされています。通常の妊娠より回数が多いので、あらかじめ予定を立てておくと安心です。
超音波検査で調べる項目
健診では、次のような検査を行います。
- 経腹超音波では、2人の赤ちゃんの推定体重と、羊水の量の差を調べます。
- 経腟超音波では、子宮頸管の長さを調べます。
- 一絨毛膜性双胎では、20週前後と30週前後に、赤ちゃんの体のつくりを調べる精密な超音波検査を行う病院もあります。
管理入院の目安は一絨毛膜性で妊娠28週以降
管理入院とは、赤ちゃんとお母さんの安全のために、出産前から入院して様子を見ることです。ある大学病院では、一絨毛膜性双胎は妊娠28週以降に管理入院を基本としています。二絨毛膜性双胎は、1〜2週間ごとの外来で管理できるとされています。
ただし、病院によっては、経過が安定していれば入院せずに外来通院で分娩まで過ごせる場合もあります。切迫早産や妊娠高血圧症候群など、入院が必要な合併症が起こった場合は、予定より早く入院することがあります。
双子妊娠の体重管理とお腹の張り
双子の妊娠では、体の負担が大きくなります。たとえば、体の中を流れる血液の量が約1.5倍に増えるため、貧血になりやすいのが特徴です。
体重の増え方の目安は、妊娠前の体型や病院の方針で変わります。自己判断で増やしすぎたり減らしすぎたりせず、健診のたびに先生や助産師さんに確認してください。
お腹の張りは、子宮が大きくなる双子の妊娠では起こりやすい症状です。お腹が張って痛みが続くときや、休んでも治まらないときは、早産のサインかもしれません。遠慮せずに病院へ連絡しましょう。

母子手帳と出産に向けた準備
母子手帳は、妊娠の経過や赤ちゃんの成長を記録する大切な手帳です。双子の場合の交付の方法や、健診費用の助成の内容は、お住まいの自治体によって違います。詳しくは、自治体の窓口で確認してください。
出産に向けては、次のような準備をしておくと安心です。
- 健診の予定が多くなるため、仕事や家事の調整を早めに考える。
- 管理入院になる可能性があるため、入院の持ち物を前もって確認する。
- パートナーや家族に、健診の内容や今後の見通しを共有しておく。
まとめ
双子の妊娠では、帝王切開か経腟分娩かの選び方、膜性診断、早産や合併症のリスク、そして健診や管理入院の予定を知っておくことが大切です。「双子は必ず帝王切開」ではなく、赤ちゃんの向きや膜性によって道筋が変わります。
不安なことは、健診のときにメモして、先生に質問してみてください。妊婦として双子と向き合う毎日が、少しでも安心できるものになりますように。
