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2025.6.3 / 最終更新日: 2026.10.15

妊娠初期(4〜15週)

妊娠・出産の基礎知識

妊娠中に眠れないのはなぜ?初期・中期・後期の原因と今夜からできる対策

「疲れているのに眠れない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」――妊娠中、こうした睡眠の悩みを抱える方はとても多くいらっしゃいます。眠れない夜が続くと、「赤ちゃんに影響しないかな」と不安になってしまいますよね。

妊娠中の不眠は、ホルモンの変化や大きくなるお腹など、妊娠にともなう自然な変化から起こることがほとんどです。原因を知り、時期に合った工夫をすることで、少しずつ眠りやすくなることも少なくありません。

この記事では、妊娠中に眠れなくなる原因を妊娠初期・中期・後期に分けて解説し、今夜から試せる対策や、睡眠薬についての考え方、医師に相談したほうがよいケースまでまとめました。

妊娠中に眠れなくなるのは珍しいことではありません

妊娠中は、多くの方が「寝つけない」「眠りが浅い」「夜中に目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」といった変化を経験します。特に妊娠後期になると、お腹の大きさや頻尿、胎動などが重なり、まとまって眠ることが難しくなりがちです。

まずお伝えしたいのは、妊娠中に眠れなくなるのは、あなたの努力不足や気の持ちようのせいではないということです。体が出産に向けて大きく変化しているサインのひとつと考え、「眠れない自分」を責めすぎないようにしましょう。

妊娠中の不眠の主な原因

妊娠中の不眠は、ひとつの原因だけでなく、いくつかの要因が重なって起こることが多いです。主な原因を見ていきましょう。

ホルモンバランスの変化

妊娠すると、妊娠を維持するために「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が多く分泌されます。プロゲステロンには眠気を誘う作用があるため、日中に強い眠気を感じやすくなります。その結果、昼間にうとうとしてしまい、夜に寝つけなくなるという悪循環が起こることがあります。

また、ホルモンの影響で体温がやや高い状態が続くため、「寝苦しい」「眠りが浅い」と感じる方もいます。

頻尿・胸やけ・こむら返りなどの体の変化

妊娠が進むと、大きくなった子宮が膀胱を圧迫して夜間にトイレが近くなります。また、子宮が胃を押し上げたりホルモンの影響で胃の入り口がゆるんだりすることで、胸やけや胃もたれが起こりやすくなります。

そのほか、次のような変化も眠りを妨げる原因になります。

  • お腹が大きくなり、楽な寝姿勢がとりにくい
  • 腰痛や恥骨・股関節の痛み
  • 夜中や明け方の足のつり(こむら返り)
  • 鼻づまり(妊娠中は鼻の粘膜がむくみやすくなります)
  • 胎動が活発で目が覚める

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

横になると脚がむずむずする、虫がはうような不快感があってじっとしていられない――このような症状は「むずむず脚症候群」と呼ばれます。妊娠中、特に妊娠後期に起こりやすく、鉄分の不足が関係していることが知られています。

脚を動かすと一時的に楽になるのが特徴で、夕方から夜にかけて症状が強くなるため、寝つきが悪くなる原因になります。思い当たる場合は、妊婦健診の際にご相談ください。血液検査で貧血の有無を確認し、必要に応じて鉄剤で治療することがあります。

出産や育児への不安・ストレス

「無事に産まれてくるかな」「出産は痛いのかな」「仕事や育児と両立できるかな」など、妊娠中はさまざまな不安を抱えやすい時期です。考えごとが頭から離れず、布団に入っても目が冴えてしまうことがあります。

不安な気持ちが強いときは、ひとりで抱え込まず、パートナーや家族、健診時の医師・助産師・看護師に話してみてください。言葉にするだけで、気持ちが少し軽くなることもあります。

【時期別】妊娠中の不眠の特徴と対策

妊娠中の不眠は、時期によって原因や起こり方が変わります。ご自身の時期に合わせて、対策を取り入れてみましょう。

時期主な原因対策のポイント
妊娠初期
(〜15週)
ホルモンの影響による日中の眠気、つわり、頻尿、妊娠への不安昼寝は短めに。つわりがつらい時期は無理をせず、休めるときに休む
妊娠中期
(16〜27週)
お腹のふくらみによる寝姿勢の変化、腰痛、胸やけ、足のつり横向きの姿勢や抱き枕に慣れておく。適度な運動で体を動かす
妊娠後期
(28週〜)
大きなお腹による圧迫感、頻尿、胎動、むずむず脚、出産への不安シムス位などラクな姿勢を工夫する。細切れの睡眠でも休息と考える

妊娠初期(〜15週)

妊娠初期は、プロゲステロンの影響で日中に強い眠気を感じる方が多い時期です。一方で、夜になると寝つけない、つわりの吐き気で眠れない、トイレが近くて目が覚めるといった悩みも出てきます。

この時期は、体が妊娠に慣れようとしている段階です。眠いときは無理をせず休むことも大切ですが、夕方以降の長い昼寝は夜の寝つきに影響しやすいため、昼寝はできれば午後の早い時間に30分程度までを目安にするとよいでしょう。つわりで吐き気が強い場合は、枕元に少量つまめる食べ物を置いておくと楽になることがあります。

妊娠中期(16〜27週)

つわりが落ち着き、比較的体調が安定しやすい時期です。ただし、お腹が少しずつ大きくなり、仰向けやうつぶせで寝にくくなってきます。腰痛や胸やけ、足のつりが出始める方もいます。

この時期から、横向きで寝る姿勢や抱き枕の使用に慣れておくと、妊娠後期の寝苦しさを和らげやすくなります。体調がよければ、ウォーキングなどの軽い運動を日中に取り入れるのもおすすめです(運動を始める前に医師にご確認ください)。

妊娠後期(28週〜)

お腹がさらに大きくなり、寝返りを打つのもひと苦労という時期です。頻尿や胎動、腰の痛み、むずむず脚、出産への不安などが重なり、「数時間おきに目が覚める」という方も多くいます。

この時期は、ぐっすり眠ることにこだわりすぎず、細切れの睡眠や横になって目を閉じているだけでも体は休まっていると考えることが大切です。夜に眠れなかった日は、日中に短い仮眠をとって体を休めましょう。産後も赤ちゃんのお世話で細切れの睡眠が続くため、「今は体が準備をしている時期」と捉えると、気持ちが少し楽になるかもしれません。

今夜からできる、眠りやすくするための工夫

ここからは、妊娠中の不眠を和らげるために、日常生活で取り入れやすい工夫をご紹介します。すべてを完璧に行う必要はありません。できそうなものから試してみてください。

寝る姿勢を工夫する(シムス位・抱き枕)

お腹が大きくなってきたら、横向きで寝る姿勢がおすすめです。特に「シムス位」と呼ばれる姿勢は、お腹や腰への負担が少なく、妊婦さんにとって楽な寝方として知られています。

  1. 体の左側を下にして横向きになる
  2. 下側の脚は軽く伸ばし、上側の脚は膝を曲げて前に出す
  3. 曲げた膝の下に抱き枕やクッションを挟む

右向きのほうが楽な場合は、右向きでも問題ありません。大切なのは、ご自身が楽に感じられる姿勢をとることです。

なお、妊娠中期以降に長時間仰向けで寝ていると、大きくなった子宮が背骨の近くを通る太い血管(下大静脈)を圧迫し、気分が悪くなったり、めまいや冷や汗が出たりすることがあります(仰臥位低血圧症候群)。仰向けで息苦しさや気分の悪さを感じたら、横向きに体勢を変えましょう。

寝室の環境を整える

妊娠中は体温が高めになりやすいため、室温や寝具を見直すだけでも眠りやすくなることがあります。

  • 室温は夏なら26℃前後、冬なら18〜20℃前後を目安に、暑すぎない環境に
  • 汗をかきやすいので、通気性・吸湿性のよいパジャマや寝具を選ぶ
  • 照明は暗めにし、遮光カーテンなどで外の光を遮る
  • 夜中のトイレに備えて、足元灯など足元を照らす小さな明かりを用意する

寝る前の過ごし方を見直す

  • スマートフォンやテレビは就寝1時間前を目安に控える:画面の光は脳を覚醒させ、寝つきを悪くします
  • ぬるめのお湯(38〜40℃程度)に入浴する:寝る1〜2時間前の入浴で、体温が下がるタイミングに眠気が訪れやすくなります。長湯やのぼせには注意しましょう
  • カフェインは夕方以降を避ける:コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、妊娠中は1日の摂取量にも気をつけたい成分です
  • 夕食は寝る2〜3時間前までに:胸やけしやすい方は、食後すぐに横にならず、上半身を少し高くして寝ると楽になることがあります
  • 寝る直前の水分は控えめに:ただし、脱水を防ぐため日中はしっかり水分をとりましょう
  • ストレッチや深呼吸でリラックスする:ゆっくりとした腹式呼吸や、ふくらはぎのストレッチは足のつりの予防にも役立ちます

日中の過ごし方を整える

夜の眠りは、日中の過ごし方とも深く関わっています。

  • 朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴び、体内時計を整える
  • 起きる時間はできるだけ毎日そろえる
  • 体調がよい日は、ウォーキングやマタニティヨガなど軽い運動をする(医師の許可を得てから行いましょう)
  • 昼寝は午後の早い時間に、30分程度を目安にする

眠れないときは、無理に眠ろうとしない

布団の中で「早く寝なきゃ」と焦るほど、目が冴えてしまうものです。20〜30分ほど経っても眠れないときは、一度布団から出て、照明を落とした部屋で温かいノンカフェインの飲み物を飲んだり、静かな音楽を聴いたりして過ごしてみましょう。眠気を感じてから布団に戻ると、寝つきやすくなることがあります。

妊娠中に睡眠薬や市販薬を飲んでもいい?

眠れない日が続くと、睡眠薬に頼りたくなることもあるかもしれません。しかし、妊娠中は自己判断で睡眠薬や市販の睡眠改善薬を使用しないでください。

ドラッグストアで購入できる睡眠改善薬や、睡眠をサポートするとうたうサプリメント・ハーブティーの中にも、妊娠中の使用について注意が必要なものがあります。以前処方された睡眠薬が手元に残っている場合も、服用する前に必ず医師にご相談ください。

妊娠中の不眠には、まず生活習慣の見直しや原因となっている症状(足のつり、胸やけ、貧血など)への対処を行うのが基本です。そのうえで、不眠が日常生活に大きく影響している場合には、医師が妊娠の時期やお母さんの状態を考慮して、薬を使うかどうかを判断します。お薬のことで迷ったら、遠慮なく健診時にお尋ねください。

妊娠中の市販薬の注意点については、妊婦の発熱と赤ちゃんへの影響|38度以上の受診目安と市販薬の注意点でも解説しています。

こんなときは早めに医師へ相談を

妊娠中の不眠の多くは生活の工夫で和らぐことがありますが、次のような場合は、次回の健診を待たずに早めにご相談ください。

  • 眠れない状態が2週間以上続いている
  • 日中の強い眠気やだるさで、家事や仕事、運転などに支障が出ている
  • 大きないびきをかく、寝ている間に呼吸が止まっていると言われた
  • 脚のむずむず感や不快感で、毎晩なかなか寝つけない
  • 気分の落ち込みが続く、理由もなく涙が出る、何をしても楽しめない
  • 不安や心配が頭から離れず、気持ちが休まらない

特に、気分の落ち込みや強い不安をともなう不眠は、妊娠中のこころの不調のサインであることもあります。「こんなことで相談してもいいのかな」と思わず、気軽にお声がけください。

また、お腹の張りや痛み、出血、破水かもしれない水っぽいおりもの、胎動が少ないと感じるなど、眠れない原因がいつもと違う体の症状である場合は、時間帯にかかわらず、まずはお電話でご連絡ください。

健診の間隔があいて不安なときの過ごし方は、妊婦検診が4週間に一回で不安な理由と解消法!異常のサインと自宅での過ごし方もあわせてご覧ください。

妊娠中の不眠に関するよくある質問

Q. 眠れないと、お腹の赤ちゃんに影響はありますか?

A. 数日眠れない夜があったからといって、すぐに赤ちゃんに悪い影響が出ることはほとんどありません。「眠れないこと」を過度に心配すると、かえって眠りにくくなってしまいます。ただし、不眠が長く続いて心身の疲れがたまっている場合は、お母さんの体のためにも医師にご相談ください。

Q. 朝起きたら仰向けで寝ていました。大丈夫でしょうか?

A. 寝ている間の姿勢を完全にコントロールすることはできませんので、心配しすぎなくて大丈夫です。気づいたときに横向きに直せば問題ありません。仰向けでいるときに気分が悪くなる、めまいがするなどの症状がある場合は、横向きで休むようにしましょう。背中にクッションを置いておくと、仰向けになりにくくなります。

Q. 昼寝をしてもいいですか?

A. 夜に眠れなかった日は、日中に短い仮眠をとって体を休めることも大切です。ただし、夕方以降の昼寝や長すぎる昼寝は、夜の寝つきを悪くすることがあります。午後の早い時間に30分程度を目安にするとよいでしょう。

まとめ|眠れない夜は「休めていれば大丈夫」と考えて

妊娠中の不眠は、ホルモンバランスの変化や大きくなるお腹、頻尿、足のつり、出産への不安など、妊娠にともなうさまざまな変化によって起こります。多くの妊婦さんが経験することですので、眠れない自分を責める必要はありません。

  • 妊娠初期・中期・後期で不眠の原因は変わる
  • 横向き(シムス位)や抱き枕で、楽な寝姿勢を工夫する
  • 寝室環境・寝る前の過ごし方・日中の過ごし方を見直す
  • 睡眠薬や市販の睡眠改善薬は、自己判断で使わない
  • 2週間以上続く不眠や、気分の落ち込み・強い不安があるときは早めに相談を

なかがわレディースクリニックでは、妊婦健診の際に体の変化や睡眠の悩み、出産への不安など、どんなことでもご相談いただけます。眠れない夜が続いてつらいときは、ひとりで抱え込まずにお気軽にお声がけください。

当院の分娩・入院については入院・分娩について、診療内容については診療についてのページをご覧ください。ご予約はWEB予約またはお電話(06-6671-0158)にて承っております。

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