妊娠初期(4〜15週)
妊娠・出産の基礎知識
【妊婦の足つぼマッサージ】押してはいけない禁忌のツボと安全なケア
妊娠中は足のむくみ、冷え、こむら返りといった不快な症状に悩まされる方が多くいらっしゃいます。足つぼマッサージでこれらの症状を和らげたいと考える妊婦さんも多いでしょう。しかし、妊娠中には押してはいけないツボがあることをご存じでしょうか。
この記事では、妊婦さんが安全に足つぼケアを行うための正しい知識をお伝えします。専門家の監修のもと、禁忌のツボと安全なツボの位置、セルフケアの方法、そして安心して施術を受けられるサロンの選び方まで、詳しく解説していきます。

妊婦の足つぼマッサージは専門家の指導下なら安全
妊娠中の足つぼマッサージについては、専門家の間でも意見が分かれています。適切な知識と技術を持った施術者による施術であれば、妊娠中のマイナートラブルの緩和に効果的とされています。
ただし、妊婦さんが自己判断で足つぼマッサージを行うことにはリスクが伴います。足裏には全身のさまざまな部位や臓器につながる反射区があり、特定のツボを刺激することで子宮収縮を促す可能性があるためです。
まずはかかりつけの産婦人科医に相談し、いつからいつまでなら足つぼマッサージを実施してもよいのかを確認しましょう。一般的には、妊娠初期にあたる妊娠4ヶ月までは施術を避け、安定期に入る妊娠5ヶ月以降から臨月に入るまでに施術を受けることを推奨している専門家が多いです。
妊娠初期に特に注意すべき理由
妊娠初期は子宮内の環境がまだ整っておらず、胎盤が完成していない非常に不安定な時期です。この時期は流産や切迫流産のリスクが最も高く、外部からの刺激に対して特に慎重になる必要があります。
妊娠初期に足つぼを刺激することで、万が一のトラブルが起きた場合、その因果関係を判断するのが難しくなります。実際には、妊娠初期の流産の多くは赤ちゃん自身の染色体異常が原因であり、母体の行動が直接的な原因となることは少ないとされています。
しかし、安全性を最優先に考えるなら、妊娠初期は足つぼマッサージを控えることをおすすめします。この時期は体調も不安定で、つわりやめまいなどの症状が出やすい時期でもあります。
妊娠中期・後期のリスクとケア
妊娠5ヶ月以降の安定期に入ると、胎盤が完成し体調も安定してきます。この時期からは、適切な方法であれば足つぼマッサージを行っても問題ないとされています。
ただし、妊娠中期・後期でも以下のような状態の時は施術を避けましょう。
施術を避けるべき状況
お腹が張っているとき、つわりがひどいとき、体調がすぐれないとき、医師から安静を指示されているとき、切迫早産や妊娠高血圧症候群などの診断を受けているときは、マッサージを控えてください。
また、妊娠後期には仰向けの姿勢で長時間過ごすと、大きくなった子宮が血管を圧迫して母体や胎児に負担をかける可能性があります。横向きの姿勢でリラックスしながら施術を受けることが大切です。
【位置図解】妊娠中に絶対に押してはいけない代表的なツボ
妊娠中に刺激を避けるべきツボは、主に子宮収縮を促す働きがあるツボや血行を強く促進するツボです。これらのツボは妊活中や陣痛促進には有効ですが、妊娠中の安定を保つためには避けるべきとされています。
子宮収縮を促す可能性のある三陰交
三陰交(さんいんこう)は、婦人科系の症状に効果的とされる代表的なツボです。位置は、内くるぶしの最も出っ張っているところから指4本分上にあります。
このツボは生理痛の緩和や冷え性の改善に効果があるとされていますが、子宮の働きを活発にする作用があるため、妊娠中に強く刺激すると子宮収縮を促す可能性があります。
軽く触れる程度であれば問題ないとする専門家もいますが、セルフケアで強く押したり、長時間刺激し続けることは避けましょう。このツボは、陣痛促進の際に使用されることもあるほど、子宮に影響を与えやすいツボです。
陣痛促進にも使われる合谷
合谷(ごうこく)は、手の甲側の親指と人差し指の骨が交わるあたりにあるくぼみに位置します。「万能のツボ」とも呼ばれ、頭痛や肩こり、便秘など様々な症状に効果があるとされています。
しかし、このツボも腸の働きを活発にする作用があり、腸の周りにある子宮や卵巣の動きにも影響を与える可能性があります。妊娠37週以降の正産期には陣痛促進のために使われることもあるツボです。
妊娠中は日常生活の中で無意識に触れてしまうこともありますが、意図的に強く刺激することは避けましょう。
血行を促進しすぎる太衝
太衝(たいしょう)は、足の甲にあり、親指と人差し指の骨が合流するあたりのくぼみに位置します。このツボは血行を強く促進する働きがあり、ストレス緩和や生理不順の改善に効果的とされています。
妊娠中に太衝を刺激すると、血行が促進されすぎて子宮への血流が増加し、子宮収縮を引き起こす可能性があります。また、このツボも陣痛促進に使われることがあるため、妊娠中は刺激を避けるべきツボの一つです。
この他にも、肩井(けんせい)という首の付け根と肩先の中間にあるツボも、妊娠中は刺激を避けるべきとされています。肩こりに効果的なツボですが、子宮収縮を促す働きがあると考えられています。
妊娠中のマイナートラブルに効果的な安全な足つぼ
妊娠中でも安全に刺激できるツボもあります。これらのツボは禁忌のツボを避けながら、むくみや冷えといったマイナートラブルの緩和に役立ちます。
足のむくみ・だるさに効く湧泉
湧泉(ゆうせん)は、足の裏の土踏まずより少し上、足の指を曲げたときに最もくぼむところに位置します。このツボは「命の泉が湧く」という意味を持つ万能のツボです。
湧泉には以下のような効果が期待できます。
血液循環の促進により、足のむくみやだるさを軽減します。腎機能のサポートにより、体内の余分な水分の排出を助けます。また、全身の疲労回復にも効果的で、妊娠中の疲れやすい体をサポートしてくれます。
湧泉は妊娠中でも比較的安全に刺激できるツボとされていますが、強く押しすぎないように注意しましょう。親指でゆっくりと、心地よいと感じる程度の力加減で押すことが大切です。
冷えやこむら返りを和らげる足三里
足三里(あしさんり)は、膝のお皿の外側のくぼみから指4本分下がったところにある、最もくぼんだ場所に位置します。胃の経絡上にあるツボで、古くから健康長寿のツボとして知られています。
足三里には次のような効果があります。
胃腸の働きをサポートし、栄養の吸収を良くします。冷え性の改善に効果的で、下半身の血行を促進します。また、こむら返りの予防にも役立ち、妊娠中特有の脚のつりを和らげます。
このツボは妊活中から妊娠中、そして産後まで、幅広い時期に活用できる安全なツボです。自律神経のバランスを整える働きもあるため、妊娠中のストレス軽減にも効果が期待できます。
リラックス効果を高める失眠
失眠(しつみん)は、足の裏のかかとの中央にある少しくぼんだところに位置します。「眠りを失った時に効果的なツボ」という意味でこの名前がつけられました。
失眠には以下のような効果があります。
神経の高ぶりを鎮める働きがあり、リラックス効果が高いツボです。不眠の改善に特に効果的で、妊娠中の睡眠の質を高めます。また、足のむくみや冷えの改善にも役立ちます。
失眠は比較的安全なツボとされていますが、一部の専門家からは生殖機能への作用があるため妊娠中は控えるべきという意見もあります。刺激する場合は、軽くたたく程度や温める程度にとどめ、強く押し込まないようにしましょう。
自宅で簡単 妊婦さん向けセルフ足裏マッサージの方法
妊娠中期以降であれば、自宅でのセルフケアも効果的です。ただし、正しい方法で行うことが重要です。
マッサージ前の準備と注意点
セルフマッサージを始める前に、以下の点を確認しましょう。
体調が良好であることを確認してください。お腹の張りや痛み、出血などの異常がないことを確かめましょう。かかりつけの産婦人科医に相談し、マッサージを行っても問題ないか確認を取ることをおすすめします。
お風呂上がりなど血行が良くなっている時間帯に行うと効果的です。体が温まっているときは、筋肉もほぐれやすく、マッサージの効果が高まります。
あぐらや横向きなど楽な姿勢で行いましょう。お腹を圧迫しないように注意し、無理な姿勢は避けてください。妊娠後期でお腹が大きくなってきたら、パートナーや家族に手伝ってもらうのも良い方法です。
マタニティ用のクリームや無添加のホホバオイルなどを使用すると、肌への摩擦を軽減できます。ただし、アロマオイルの中には妊娠中に避けるべき成分を含むものがあるため、使用前に必ず確認しましょう。
押す強さと時間の目安
セルフマッサージの基本は「気持ちいいと感じる程度の力加減」です。痛みを感じるほど強く押す必要はありません。
3〜5秒かけてゆっくりと圧をかけ、同じ時間をかけて力を抜くというリズムで行います。一つのツボにつき3〜5回程度繰り返せば十分です。
全体で5分〜10分程度を目安にしましょう。長時間のマッサージは逆効果になることもあります。短時間でも毎日続けることで、徐々に効果が実感できるようになります。
呼吸を意識することも大切です。ツボを押すときに息を吐き、力を抜くときに息を吸うというリズムで行うと、よりリラックス効果が高まります。
マッサージ中に少しでも体調の変化を感じたら、すぐに中止してください。お腹の張り、痛み、めまい、気分が悪くなるなどの症状が出た場合は、横になって安静にし、症状が治まらない場合は医療機関に連絡しましょう。
市販の足つぼマットやマッサージ機の使用可否
市販の足つぼグッズについては、妊娠中の使用は推奨されていないものが多いため注意が必要です。
足つぼマットは、どのツボが刺激されるか予測しにくく、禁忌のツボを刺激してしまう可能性があります。使用を控えるか、使用する場合でも短時間にとどめ、強い刺激を避けましょう。
低周波治療器やマッサージ機は、取り扱い説明書をよく読んでください。多くの製品では妊娠中の使用は禁止されています。記載がない場合でも、使用を避けたほうが安心です。
安心して施術を受けられるマタニティサロン・整体院の選び方
自宅でのセルフケアに不安がある場合や、より効果的なケアを受けたい場合は、専門のサロンや整体院を利用するのも一つの方法です。
妊婦専門の資格や実績の確認
マタニティマッサージを選ぶ際は、施術者の資格や経験を必ず確認しましょう。国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」の資格を持っている施術者であれば、より安心です。
妊婦専門のコースや実績があるかも重要なポイントです。多くの妊婦さんを施術してきた経験があるサロンであれば、妊娠中の体の変化や注意点を十分に理解しています。
ホームページや口コミで、マタニティマッサージの施術実績や方針を確認しましょう。「妊娠○週から施術可能」「産婦人科医の許可が必要」などの条件が明記されているサロンは、安全性に配慮している証拠です。
安定期以降の受け入れが基本
ほとんどの専門サロンでは、妊娠16週(妊娠5ヶ月)以降の安定期から施術を受け入れています。これは、胎盤が完成し、流産のリスクが低下する時期だからです。
一部のサロンでは妊娠初期から施術可能としているところもありますが、より安全性を重視するなら、安定期以降に受けることをおすすめします。
また、臨月や予定日間近の施術については、サロンによって方針が異なります。陣痛促進を目的としたマッサージを行うサロンもあれば、出産直前は施術を控えるサロンもあります。事前に確認しておきましょう。
事前のカウンセリングの重要性
初めて施術を受ける際は、必ず事前カウンセリングを実施するサロンを選びましょう。カウンセリングでは以下の内容を確認されます。
現在の妊娠週数や体調、持病やアレルギーの有無、かかりつけ医からの許可の有無、過去の妊娠や出産の経験などです。
施術中の姿勢や使用するオイルについても説明があるはずです。妊婦さんに配慮したシムス位(横向きの姿勢)での施術や、妊娠中でも安全な成分のオイルを使用しているかを確認しましょう。
また、施術中に体調の変化があった場合の対応方法についても、事前に確認しておくと安心です。経験豊富なサロンであれば、すぐに施術を中止し、適切な対応をしてくれます。
妊婦の足つぼに関するよくある質問
妊娠中の足つぼケアについて、多くの方が抱える疑問にお答えします。
臨月や予定日間近の足つぼは?
妊娠37週以降の正産期に入ると、いつ陣痛が来てもおかしくない時期です。この時期に足つぼマッサージを受けても問題ないかは、サロンや専門家によって意見が分かれます。
予定日が近づいても陣痛が来ない場合、リラックスを目的として軽いマッサージを受けることは可能です。ただし、三陰交や太衝といった陣痛促進に使われるツボの刺激は、自己判断で行わないようにしましょう。
もし陣痛促進を目的としたケアを希望する場合は、必ずかかりつけの産婦人科医に相談し、許可を得てから専門のサロンで施術を受けてください。
夫に足裏マッサージをしてもらう際の注意点
パートナーによる足裏マッサージは、スキンシップの機会にもなり、リラックス効果も高まります。ただし、以下の点に注意してください。
禁忌のツボの位置を事前に確認し、三陰交、合谷、太衝、肩井などのツボは避けるようにしましょう。図や写真を見ながら、正確な位置を把握することが大切です。
「気持ちいい」と感じる程度の力加減で行います。痛みを感じるほど強く押さないでください。妊婦さん本人が「もう少し優しく」「そこは避けて」などと、遠慮なく伝えることが重要です。
ふくらはぎや足首を中心に、下から上に向かってさすり上げるようなマッサージが安全です。血液やリンパの流れを促し、むくみの軽減に効果的です。
妊活中の足つぼの効果
妊活中の足つぼケアは、妊娠しやすい体づくりをサポートする効果が期待できます。妊活中と妊娠中では、推奨されるツボが異なる点に注意が必要です。
妊活中には、三陰交や太衝といったツボも血行促進や生殖機能のサポートに効果的とされています。これらのツボは妊娠中には避けるべきですが、妊活中は積極的に刺激することで、子宮や卵巣の働きをサポートできます。
また、足三里や湧泉といったツボは、胃腸の働きを整え、全身の栄養状態を改善することで、妊娠しやすい体づくりに役立ちます。ストレス軽減やリラックス効果もあるため、心身ともに妊活をサポートしてくれます。
妊活中の足つぼケアを本格的に行いたい場合は、不妊鍼灸を専門とする鍼灸院に相談するのもおすすめです。体質や症状に合わせた適切なツボを刺激してもらえます。
まとめ
妊婦の足つぼマッサージは、正しい知識と方法で行えば、むくみや冷えといったマイナートラブルの緩和に効果的です。ただし、三陰交・合谷・太衝・肩井といった禁忌のツボは避け、湧泉・足三里といった安全なツボを中心にケアしましょう。
セルフケアを行う際は、妊娠初期を避け、安定期以降に医師の許可を得てから始めることが大切です。専門サロンを利用する場合は、マタニティマッサージの実績が豊富で、事前カウンセリングを実施するサロンを選びましょう。
妊娠中の体は刻々と変化します。その日の体調に合わせて無理なくケアを続け、快適なマタニティライフを送ってください。
