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2022.11.30 / 最終更新日: 2025.12.15

妊娠後期(28〜40週)

マタニティライフの過ごし方

【医師監修】妊婦の運動おすすめ5選!時期別の注意点とNG行動

妊娠中の運動について不安を感じている妊婦さんは少なくありません。「お腹の赤ちゃんに影響はないの?」「どんな運動ならしても大丈夫?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。実は、適切な運動は妊娠中の健康管理に欠かせないものです。この記事では、妊婦さんが安全に取り組める運動方法と、時期別の注意点について詳しく解説します。

妊娠中の運動効果と開始可能な時期

妊娠中に適度な運動を行うことは、母体と胎児の両方にとって多くのメリットがあります。ここでは、運動がもたらす具体的な効果と、いつから始めるべきかについて説明します。

体重管理と妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の予防

妊娠中の適度な運動は、体重増加のコントロールに大きく役立ちます。妊娠前の体格が肥満である場合や、体重増加が著しく多い場合、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、帝王切開分娩などのリスクが高まることが知られています。

運動による予防効果は医学的にも認められており、定期的な有酸素運動を行うことで、これらの合併症のリスクを軽減できます。さらに、適度な運動は血流を改善し、腰痛やむくみ、便秘といった妊娠中の不快な症状を緩和する効果も期待できます。

また、運動は気分転換やストレス解消にもつながり、妊娠中の不安定な心理状態を安定させる効果があります。出産に必要な体力を維持し、持久力を獲得することで、分娩や産後の育児にも良い影響をもたらします。

運動開始は妊娠12週以降の検診で許可が出てから

妊娠中の運動を始めるタイミングは非常に重要です。妊娠成立後に新たに運動を開始する場合は、原則として妊娠12週以降で、妊娠経過に異常がないことが条件となります。これは、妊娠12週までは胎盤が完成しておらず、不安定な時期であるためです。

運動を開始する前には、必ずかかりつけの産婦人科医に相談し、許可を得ることが必要です。現在の妊娠が正常で、過去の妊娠に早産や反復する流産がないこと、単胎妊娠で胎児の発育に異常がないことなどが、運動を行える条件となります。

一方、妊娠前から運動習慣があった方は、妊娠初期でも妊娠前と同程度の運動を続けることができる場合もあります。ただし、この場合も必ず医師に相談し、運動強度を調整することが大切です。異常が認められない場合、運動は出産直前まで続けることができます。

【時期別】妊婦の運動ガイドラインと運動量

妊娠の時期によって、適切な運動内容や強度は異なります。ここでは、妊娠初期、中期、後期それぞれの時期に応じた運動のポイントをご紹介します。

妊娠初期はつわりや流産リスクを考慮した安静重視

妊娠初期(妊娠15週頃まで)は、つわりの症状が強く出る時期です。体調が優れない日も多く、無理に運動する必要はありません。この時期は胎盤が形成される大切な時期でもあるため、体調を第一に考えて過ごすことが重要です。

ただし、妊娠初期だからといって完全に運動を控える必要はありません。医師から安静の指示がなく、体調が良好であれば、軽いウォーキングなどの無理のない程度の運動は可能です。むしろ、適度な運動はつわりの軽減やストレス解消につながることもあります。

この時期に新しい運動を始めることは避け、妊娠前から行っていた運動を継続する場合も、強度を抑えて慎重に行いましょう。体調の変化に敏感になり、少しでも不調を感じたらすぐに休むことが大切です。

妊娠中期は安定期におけるウォーキング等の積極的な活動

妊娠中期(妊娠16週~27週)は、一般的に安定期と呼ばれる時期です。つわりも落ち着き、お腹もまだそれほど大きくないため、最も運動に適した時期といえます。この時期から本格的に運動を始めることをおすすめします。

産婦人科診療ガイドラインでは、1日30分、週に5回、合計150分の運動が推奨されています。運動強度としては、心拍数が150回毎分以下、自覚的運動強度として「ややきつい」以下が望ましいとされています。具体的には、運動中に会話ができる程度の強度を目安にしましょう。

この時期は、ウォーキングやマタニティスイミング、マタニティヨガなど、様々な運動にチャレンジできます。ただし、お腹の張りや体調の変化には常に注意を払い、無理のない範囲で継続することが大切です。

妊娠後期はお腹の張りに注意した出産への体力維持

妊娠後期(妊娠28週以降)は、お腹が大きくなり、動きづらさを感じる時期です。しかし、出産に向けて体力を維持することは非常に重要です。運動は出産直前まで続けることができますが、お腹への振動を避け、ゆったりとした無理のない運動を心がけましょう。

この時期は、生理的なお腹の張りが出やすくなります。運動前後でのお腹の張りや胎動に特に注意が必要です。運動後に少し安静にすると張りが落ち着く場合は問題ありませんが、張りがどんどんひどくなる場合や、胎動が感じにくい場合は、すぐに病院に連絡しましょう。

散歩やマタニティヨガなど、穏やかな運動を中心に行い、出産に必要な体力を維持することを目指します。この時期も、体調の変化があれば無理せず休憩することが何より大切です。

妊婦におすすめの安全な有酸素運動5選

妊娠中に適した運動は、転倒のリスクが低く、全身を動かせる有酸素運動です。ここでは、妊婦さんにおすすめの安全な運動を5つご紹介します。

全身の血流を改善し気分転換になるウォーキング

ウォーキングは、妊婦さんにとって最も手軽で安全な運動です。特別な道具や場所も必要なく、自分のペースで始められるのが大きな魅力です。背筋を伸ばし、腕をしっかり振り、歩幅を少し大きくすることを意識すると、腹筋や背筋が鍛えられます。

ウォーキングは全身の血流を改善し、腰痛やむくみの予防にも効果的です。また、外の空気を吸いながら歩くことで、気分転換やストレス解消にもつながります。1日30分程度を目安に、無理のない範囲で継続しましょう。

歩く際は、転倒を防ぐために平坦で安全な道を選び、動きやすい服装と靴で行うことが大切です。暑すぎたり寒すぎたりする日は無理せず、室内で行える運動に切り替えましょう。万が一に備えて、スマートフォンと母子手帳を携帯することも忘れずに。

浮力で腰痛や関節への負担を軽減するマタニティスイミング

マタニティスイミングは、水の浮力により膝や腰などの関節に負担をかけずに体を動かせる理想的な運動です。水中では重力が軽減されるため、妊娠中の重い体でも楽に動くことができます。

泳ぐことは腹筋の強化や股関節を柔らかくすることにつながり、出産に必要な体力をつけるのに最適です。また、水圧により全身のむくみ解消効果も期待できます。

ただし、マタニティスイミングを始める際は、医師の診断書が必要な場合もありますので、通う施設に事前に確認しましょう。競技的なタイムを競うような泳ぎ方は避け、ゆったりとしたペースで行うことが大切です。

呼吸法を学びリラックス効果を高めるマタニティヨガ

マタニティヨガは、ゆっくりとした呼吸とともに体を動かすため、リラックス効果が高い運動です。妊娠中に避けるべき姿勢やポーズがないため、安心して始められます。

ヨガの呼吸法は、出産時にも役立つ重要なスキルです。深い呼吸を意識することで、自律神経が整い、妊娠中の不安やストレスの軽減にもつながります。また、柔軟性を高めることで、腰痛や肩こりなどのマイナートラブルの予防にも効果的です。

マタニティヨガは自宅で動画やDVDを見ながら行うこともできますが、病院やスタジオで開催される教室に参加すると、同じ妊娠期の仲間と交流できるメリットもあります。天候に左右されず、自分の好きなタイミングで行える点も魅力です。

自宅で天候を気にせず行えるマタニティビクス

マタニティビクスは、音楽に合わせて体を動かす有酸素運動です。エアロビクスの妊婦版として、妊娠中でも安全に行えるように動作が調整されています。

自宅でも取り組めるため、天候や外出の制約を受けずに運動できるのが大きな利点です。リズミカルな動きは気分を明るくし、運動不足の解消だけでなく、ストレス発散にも効果的です。

マタニティビクスのクラスに参加すると、インストラクターの指導のもとで正しい動きを学べます。また、他の妊婦さんとの交流の場にもなり、情報交換や励まし合いができる貴重な機会となるでしょう。

骨盤底筋を鍛えて尿漏れを防ぐケーゲル体操

ケーゲル体操は、骨盤底筋を鍛える運動です。骨盤底筋は、膀胱や子宮、直腸を支える重要な筋肉群で、妊娠中は大きくなった子宮の重みで負担がかかり、弱くなりやすい部位です。

この体操は、尿道や肛門、膣の周辺をギュッと締めたり緩めたりする動作を繰り返します。場所や時間を問わず、いつでもどこでもできるのが最大の特徴です。座っていても、立っていても、寝ていても行えます。

ケーゲル体操を継続することで、妊娠中や産後の尿漏れを予防・改善する効果が期待できます。1日に数回、数秒間締めてから緩めるという動作を繰り返すだけで、徐々に効果が現れてきます。出産や育児に備えて、妊娠中から骨盤底筋を意識的に鍛えておきましょう。

妊娠中に避けるべきNG運動と危険な動作

妊娠中は避けるべき運動やスポーツがあります。安全に運動を続けるために、禁止事項をしっかり理解しておきましょう。

転倒や接触のリスクが高い球技やスキー

転倒や落下、接触の危険がある競技的性格の強いスポーツは避けなければなりません。具体的には、バスケットボール、バレーボール、サッカー、ラグビーなどの球技や、スキー、スノーボード、乗馬、スキューバダイビングなどが該当します。

これらのスポーツは、他の選手との接触や転倒による腹部への衝撃のリスクが高く、妊娠中は非常に危険です。テニスやバドミントンなどのラケットスポーツも、激しい動きを伴う場合は注意が必要です。

また、自転車については、移動手段としてどうしても必要な場合は妊娠初期から中期の始めまでとし、お腹が大きくなってきたら利用を控えましょう。妊娠後期は特にバランスがとりにくくなり、転倒のリスクが高まります。

腹圧が強くかかる筋力トレーニングやジャンプ動作

瞬間的に強い力を使う無酸素運動は、妊婦さんに大きな負担をかけるだけでなく、赤ちゃんに酸素が十分に届かなくなる可能性があるため厳禁です。重いウエイトを使った筋力トレーニングや、腹筋運動で強く腹圧をかける動作は避けましょう。

ジャンプを伴う運動や、走り幅跳び、棒高跳びのような全身に衝撃が加わるスポーツも危険です。レスリングや柔道のように腹部に過度な衝撃が加わるスポーツは、絶対に行ってはいけません。

また、長時間立ち続ける必要がある運動や、仰向けの姿勢を長時間保持する運動も避けるべきです。特に妊娠16週以降は、仰向けの姿勢により大きな子宮が血管を圧迫し、仰臥位低血圧症候群を引き起こす可能性があります。

脱水症状のリスクがあるホットヨガ

ホットヨガは、高温多湿の環境で行われるため、妊娠中は避けなければなりません。体温の上昇により赤ちゃんに影響が出る可能性があり、また母体が脱水症状や熱中症を起こすリスクが高まります。

床が汗で滑りやすくなることによる転倒の危険もあります。通常のヨガは妊娠中でも安全に行えますが、高温環境でのヨガは妊娠の全期間を通じて避けるべきです。

真夏の炎天下での屋外運動も同様に危険です。運動を行う際は、涼しい場所を選び、体温が上昇しすぎないように注意しましょう。

安全に運動を行うための注意点と中止サイン

運動を安全に続けるためには、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、運動時に守るべきルールと、中止すべきサインについて説明します。

運動中のこまめな水分補給と通気性の良い服装

運動中はこまめな水分補給が非常に重要です。妊娠中は脱水症状を起こしやすいため、運動前、運動中、運動後にしっかりと水分を摂取しましょう。喉が渇いたと感じる前に飲むことを心がけてください。

服装は、通気性が良く、体を動かしやすいものを選びましょう。締め付けの強い服は避け、お腹周りにゆとりのあるマタニティウェアがおすすめです。靴は、転倒を防ぐために滑りにくく、足にフィットするものを選んでください。

運動する環境にも注意が必要です。暑すぎたり寒すぎたりする日は、体に負担がかかるため、無理して外に出ず、室内でできる運動に切り替えましょう。

お腹の張りや出血を感じた際の即時中止

運動中にお腹の張り、腹痛、出血、立ちくらみ、頭痛、胸痛、呼吸困難などの症状が現れた場合は、すぐに運動を中止してください。これらは体が警告を発しているサインです。

お腹の張りについては、運動後に少し安静にして落ち着く程度なら問題ありませんが、張りが強くなったり、頻繁に起こったりする場合は、医師に相談する必要があります。また、胎動が感じにくい、または消失した場合も、すぐに医療機関に連絡しましょう。

運動を中止すべきかどうか迷った場合は、無理せず休むことを優先してください。体調が回復してから、医師に相談の上で運動を再開しましょう。

会話ができる程度の強度であるニコニコペース

運動強度の目安として、「会話ができる程度」を意識しましょう。この強度は「ニコニコペース」とも呼ばれ、運動中に話しかけられても会話を継続できている状態を指します。

息切れして会話ができない状態は、妊婦さんにとって運動強度が高すぎます。心拍数で150回毎分以下、自覚的運動強度として「ややきつい」以下が望ましいとされています。

運動は楽しく、心地よい範囲で行うことが継続の秘訣です。頑張りすぎは禁物です。自分の体調に合わせて、無理のないペースで続けることを心がけましょう。

妊婦の運動に関するよくある質問

妊娠中の運動について、多くの妊婦さんが抱く疑問にお答えします。

1日あたりの運動時間は60分以内が目安

運動時間については、1日30分を目安とし、最大でも60分以内に収めることが推奨されています。週に150分、つまり週5日で1日30分程度の運動が理想的です。

運動習慣が少なかった方は、まず1日5分程度から始めて、1週間ごとに毎日の運動時間を5分ずつ伸ばしていくのも良い方法です。一度に長時間運動するよりも、短時間でも毎日継続する方が効果的です。

ただし、これはあくまで目安です。体調や妊娠の経過によって適切な運動時間は異なりますので、必ず医師と相談しながら調整しましょう。

運動が苦手な場合の家事やストレッチ活用法

もともと運動が苦手な方や、運動習慣がなかった方は、無理に本格的な運動を始める必要はありません。日常生活の中での活動量を増やすことから始めましょう。

普段の買い物や掃除といった家事の中にも、運動効果は十分にあります。階段の上り下りや、部屋の片付けなども、体を動かす良い機会です。散歩のように、ゆったりと自分のペースで歩くことも立派な運動になります。

また、簡単なストレッチを取り入れるのもおすすめです。朝起きた時や寝る前に、体を伸ばすだけでも血行が良くなり、体の凝りを和らげることができます。無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。

まとめ

妊娠中の適度な運動は、体重管理や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病の予防に効果的です。妊娠12週以降、医師の許可を得てから開始し、ウォーキングやマタニティヨガなどの有酸素運動を選びましょう。転倒の危険がある球技や、腹圧がかかる筋力トレーニング、ホットヨガは避けてください。運動中は水分補給を忘れず、お腹の張りや体調の変化に注意しながら、会話ができる程度の強度で行うことが大切です。1日30分を目安に、無理のない範囲で継続し、出産に向けて健康な体づくりを目指しましょう。

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