妊娠後期(28〜40週)
入院・出産について
【妊娠後期】入院の原因はなに?期間や費用はどのくらいかかる?
妊娠中は、何が起こるのかわからないもの。今まで順調に経過をたどってきていても、妊娠後期に入って入院になることもあります。
今回は、妊娠後期に入院になる原因と、入院期間や費用について解説していきます。
妊娠後期の入院の主な原因
今回お伝えする妊娠後期の入院の主な原因は「切迫早産」「前置胎盤」「妊娠高血圧症候群」の3つです。名前は聞いたことはあっても、詳しいことはわからないという人もいるかもしれませんね。1つずつ詳しく解説していきます。
⚫︎切迫早産
切迫早産とは、まだ産まれてもよい時期ではないのに、子宮の出口が開きかけており「赤ちゃんが産まれてしまうかもしれない」状態のことです。
切迫早産と診断されたときには、入院が必要なケースもありますが、基本的にはご自宅で安静にして過ごすことになります。
入院が必要なケースとは、たとえば以下のような場合です。
・子宮頸管が1週間前と比べて短くなった
・子宮収縮の頻度が増した
・おなかの痛みがあまりに強い
⚫︎前置胎盤
前置胎盤とは、胎盤が正常よりも低い位置に付着してしまい、胎盤が子宮の出口の一部または全部を覆っている状態のことをいいます。
通常は赤ちゃん→胎盤の順に出てきますが、前置胎盤の場合は胎盤が赤ちゃんよりも下にあります。そのため胎盤→赤ちゃんの順で出てしまう可能性があります。
胎盤が先に出てしまうと、赤ちゃんは胎盤からの栄養が途切れてしまいます。そして赤ちゃんはまだ子宮内にいるため、自力で呼吸もできないという状況になってしまいます。また母体は大出血により、母子ともに命の危険があるのです。
いつ頃入院したらよいかは、具体的に決まっているわけではありません。しかし出血があった場合にはその時点で入院し、子宮収縮抑制剤を投与しながら帝王切開の時期を模索します。
※参考:日本産科婦人科学会「前置胎盤」(https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=2)
⚫︎妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは、文字どおり妊娠時に高血圧を発症することです。妊婦さんのなかの約5%の方に症状がみられます。
特に34週未満での発症は重症化する可能性があります。重症化すると、以下のような危険があります。
・高血圧、蛋白尿の重症化
・全身の痙攣発作と意識消失
・胎児発育不全
・常位胎盤早期剥離(分娩前に胎盤が剥がれて赤ちゃんと母体の状態が悪くなること)など
妊娠高血圧の重症化は、母子ともに非常に危険な状態です。
治療は安静と入院が中心になります。妊娠が終わるとお母さんの状態はよくなります。しかし重症化していた場合は、高血圧や尿蛋白などが持続することがあるため、産後も経過観察が必要です。
※参考:日本赤十字社 松山赤十字病院「妊娠高血圧症候群」(https://www.matsuyama.jrc.or.jp/?aboutus=fields/ob-gyn/target/target04)
入院期間はどのくらい?
入院期間は、人によってさまざまです。数日で退院できる人もいれば、出産までの数ヶ月間入院する人もいます。
・入院の原因
・身体の状態
・ママや家族の意向 など
これらを総合的に判断して、退院の時期を決定します。
入院費用はいくら必要?
入院する部屋の環境や治療内容、収入などによって変わってきますが、高額療養費制度を使うとおよそ1ヶ月で10万円前後となることが多いです。
参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf)
入院費用については、公的医療保険制度と貯蓄で備えられます。もしも入院になってしまった時に支払える貯蓄がない人は、民間の医療保険を検討するのもよいでしょう。ただし、民間の医療保険は妊娠前に加入していないと保険金が降りない場合があるので注意が必要です。
まとめ
妊娠中は何が起こるかわかりません。もしも自分が入院することになった場合に備えて、家族に物の場所を伝えたり、祖父母への協力体制を整えておくなど、あらかじめ対策しておくと安心です。
赤ちゃんと会えるその日まで、あと少しがんばりましょう。