妊娠後期(28〜40週)
妊娠・出産の基礎知識
産褥期っていつまで?理想的な過ごし方は?
出産という大イベントを終えたママ。
産後の体は想像以上にボロボロで日常生活を送るのも大変です。
それもそのはず。10ヶ月という長い妊娠期間、子宮をはじめとした女性の体は大きく変化し、産後6週間から8週間かけて体は元の状態に戻ろうとします。この時期を産褥期と呼びます。
ここでは産褥期に起こる体の変化と、ママの理想的な過ごし方をご紹介します。
出産後の体に起きる大きな変化
出産を終えた体は、大きく変化します。
特に子宮、ホルモン、母乳といった赤ちゃんとママに大きく影響する変化について見ていきましょう。
子宮の変化
妊娠前と比べると、約2000~2500倍にも大きくなると言われている子宮。人間の体でこれほど大きく変化する臓器は子宮の他にありません。
出産後、大きくなった子宮は6週間から8週間かけて元の状態に戻ります。これを「子宮復古」といいます。
特に産後2日目から急速に子宮が収縮し元に戻ろうとするので、「後陣痛」と呼ばれる強い陣痛のような痛みを感じることも。この時に、子宮内で不要となった残留物を排出する「悪露」も始まります。
ホルモンバランス
妊娠中はプロゲステロンとエストロゲンという2つのホルモンが多く分泌され、赤ちゃんに栄養を送ったり、子宮を大きくしたりする役割を担っています。
産後はこの2つのホルモンの分泌量が急激に減少するため、心や体に不調を感じることも。
一方、母乳を作り出すプロラクチンは、出産前に比べて分泌量が多くなります。
また、子宮収縮を促すオキシトシンは、妊娠後期から盛んに分泌されます。乳頭刺激により分泌が促進され、母乳を外に押し出す働きと子宮を収縮させる働きをするので、授乳の際に後陣痛が強くなることも。
母乳についての変化
産後すぐにプロラクチンなどのホルモンの影響と、赤ちゃんが吸啜(乳頭刺激)することで母乳の分泌が始まります。
特に分娩後5日ごろまでに分泌される、黄色みがかった乳汁を「初乳」と呼びます。初乳には免疫グロブリンが多く含まれるとされており、新生児にとって理想的な栄養源です。
高濃度でタンパク質の含有量が高く、栄養豊富。脂肪の含有量も少なく、消化しやすく最適な方法で赤ちゃんの発達を開始させる成分がたくさん詰まっています。
初乳の分泌が起こるのは産後1週間ほどで、徐々に「成乳」と呼ばれる成分へと変化します。
母乳の分泌量には個人差があるので、あまり考えすぎずリラックスして過ごすことが大切です。
産褥の理想的な過ごし方
妊娠・出産を経験したママの体は大きくダメージを負っています。
そのため、産後約1ヶ月間は動き過ぎると免疫力が低下し、細菌感染のリスクが高まります。 また、この時期に体を酷使すると更年期障害がひどくなる可能性もあるとされています。
産後は無理をせず、自分のペースで元の生活に戻していくことが重要です。
産後1~2週間目
産後の体がもっとも急速に変化する時期です。この期間は体を休めることに努め、育児以外の家事はできるだけパパや両親の力を借りましょう。
周りに頼れる人が居ない場合には、公共・民間のサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
産後3週目
順調であれば、徐々に体の回復が進み、少しずつ動くことができるようになる時期です。
体の調子が良い時に、軽い家事をすることも可能です。しかし、無理は禁物。重いものを持つなど負担が大きい家事は控え、疲れたら休むようにしましょう。
産後4週目
赤ちゃんと共に、1ヶ月健診で異常がなければ日常生活に戻ることができます。
体力を戻すための軽い運動を始めるのもオススメです。里帰り出産をしたママは、この時期から自宅へ戻る計画を進めましょう。
しかし、まだ産褥期であることには変わりありません。見た目で元気でも完全に元の状態に戻った訳ではないので、買い物やお出かけは短時間で済ませ、少しずつ日常生活に戻していきましょう。
産後1ヶ月以降
多くのママは、体調が安定し日常生活に戻ることができる時期です。会陰切開や帝王切開の傷の痛みも、落ち着いてくるのではないでしょうか。
産院の許可が下りれば、湯船に浸かることもできるようになります。また、性生活も可能ですが悪露の状態や、体調・精神面と相談しながら再開するようにしましょう。
慣れない育児が本格化し、心身ともに疲れが出やすい時期でもあります。不安や心配事を感じたら、無理をせずサポートしてもらうようにしてくださいね。
通常は産後8週目から、本人の意思と病院からの許可が下りれば産後6週目から職場復帰も可能です。ママの体調と赤ちゃんのサポートの状態に応じて、しっかりと計画するようにしましょう。
産褥期を無理なく過ごすためにはサポートが大切!
いかがでしたか?産褥期は慣れない育児と、体の変化によって無理をしがちです。
パパや周りの人のサポート、公共・民間のサービスを活用して、無理なく産褥期を過ごしてくださいね。